優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2025年05月

夏料理
鹿児島市内に戻り天文館通りの「屋久島で民宿やっていました」で夕食を摂りました。今日のお勧めということで首折れ鯖の刺身をいただきました。

首折れ鯖とは、鹿児島県屋久島で獲れるゴマサバのことで、鮮度を保つために漁獲後すぐに首を折って血抜きをするという伝統的な方法で知られています。この作業から「首折れ鯖」という名前がつけられました。

刺身が美味しかったのはもちろんですが、お皿が屋久杉だったのにも驚きました。隣のご夫婦がお酒を注文されると屋久杉のぐい飲みが数種類出てきて、自由に選べるようになっていました。
IMG_0492


五月
「サクラジマアイランドビュー」で桜島港に戻り桜島フェリーで鹿児島市内に戻りました。すでに午後5時を過ぎており、噴煙をあげる桜島が夕陽に照らされていました。

桜島もそうでしたが鹿児島市内でも屋外の物干し竿を全く目にしませんでした。今日は風向きが逆方向だったものの、晴天でも降灰で洗濯物を屋外に干すことはできません。その土地ならではの苦労がいろいろあることでしょう。
IMG_0490


薄暑
北岳の四合目にある湯之平展望所は標高373mに位置し、一般人が立ち入れる最高所です。ここからは御岳の荒々しい山容と噴煙を間近に見ることができます。

西に目を向ければ錦江湾とそこを行き交う船、鹿児島市内が眼下に広がります。さらに遠く目をやれば南に薩摩半島先端にある開聞岳が望め、北には霧島連山の姿も見えました。
IMG_0488



錦江湾は、約3万年前の巨大噴火によってできた姶良カルデラに海水が流れ込んで形成されたカルデラ湾です。類似例としてはギリシャのサントリーニ島、インドネシアのクラカタウなどが挙げられます。

ただ、錦江湾のように直径20km超の巨大カルデラに直接海水が入り、湾として現在も活発な火山活動が続く地形は、世界的にも数例しかありません。さらに、その規模・地形・火山活動の複合性から見て非常に希少な存在です。

世界有数の火山国日本だけあってカルデラ湖は日本中に数多くあります。しかし、明確にカルデラ湾と言えるのは錦江湾以外には、雲仙カルデラの陥没地形が海水で満たされたとみられる有明海の一部くらいです。
IMG_0486


夏はじめ
桜島では、北岳・中岳・南岳の三つの山体を総称して御岳(おんたけ)と呼んでいます。この御岳は、桜島の最高峰である北岳(標高1,117m)、中岳(1,060m)、南岳(1,040m)から成り、特に南岳は現在も活発な噴火活動を続けています。

御岳は、古くから信仰の対象とされてきました。島内には神社が点在し、ご神体は山頂、すなわち御岳に向けて祀られています。活火山とともに暮らしてきた人々が、火山活動の鎮静や日々の生活の安寧を祈願するためのものです。

また、御岳蔵王権現(北岳を鎮める神、祭神は海幸彦)や御岳竜王権現(南岳の噴火を海底から鎮める神、祭神は月読命)など、桜島の御岳が活火山として畏敬と信仰の対象であることが分かります。
IMG_0484

夏めく
桜島は大正3年(1914)の大正大噴火で流れ出た溶岩で大隅半島とつながるまでは文字通り「島」でした。循環バスの経路には他にも烏島展望所、赤水展望所などがあり、それぞれの展望所で錦江湾と桜島を眺めている人たちがいました。

桜島は有史以来何度も噴火し、最もよく知られているのが文明2年(1471)の文明大噴火、安永8年(1779)の安永大噴火、そして大正大噴火です。これを機に桜島と鹿児島を結ぶ定期航路が開設され、現在の桜島フェリーにつながっています。
IMG_0483

はつなつ
桜島の西部を循環する観光バス「サクラジマアイランドビュー」に乗ることにしました。最高所の湯之平展望所までは40分、そこで30分ばかり過ごして再びバスに乗れば16時55分に桜島港に戻って来れます。

バス停でもすでに外国人観光客がふたりバスを待っていました。バス停前からは桜島港を出入りするフェリーの姿を眺められました。暑くも寒くもなく、観光には最適の日です。
IMG_0482


初夏
5月15日の未明から桜島の爆発的噴火が始まりました。この日は東南方向に風が吹いており、高く上がった噴煙は大隅半島方面に流れていました。

桜島フェリーの甲板に座って桜島の様子を眺めながら錦江湾を横断しました。外国人観光客の姿はここでも多く、珍しい海上火山の様子をスマホで撮影しているのが見えました。
IMG_0481


夏浅し
錦江湾は霧島錦江湾国立公園の南部を形成し日本百景のひとつでもあります。霧島市と桜島南部の約20kmを直径とする姶良カルデラが約3万年前の石器時代に噴火し湾が誕生。その約3千年後に南の端で桜島火山が噴火して桜島が生まれました。

桜島フェリーは旧桜島町が運営していたフェリーを市町村合併で鹿児島市が引き継いだものです。15分間隔で鹿児島港と桜島港の間を結んでいます。大隅半島地域と薩摩半島地域の連絡にも欠かせない海上交通です。
IMG_0480


夏空
仙厳園の次はフェリーで桜島に渡ることにしました。フェリー乗場に着いたのは午後3時前でしたが、日の長い時期なので夕暮れまでにはまだかなり時間があります。

桜島は鹿児島港からフェリーで15分の距離にある面積約77km2、周囲約52kmの鹿児島のシンボルです。大正3年(1914)の大正大噴火で流れ出た溶岩で大隅半島と陸続きになりました。

人口約60万人の鹿児島市と桜島は約4kmしか離れていません。これほどの大都市が活火山に隣接しているのは世界でも珍しい例です。
IMG_0479


このページのトップヘ