優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

2025年06月

カンナ
カンナは真夏の炎天下が似合う花です。熱帯アメリカ原産のカンナ科カンナ属の一群を指し、19世紀中ごろから欧米で品種改良が重ねられ現在のような姿になりました。

花の色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、複色など多彩です。耐暑性は強く乾燥にも強く栽培しやすい花で真夏の花壇を彩ります。花は6月から10月頃まで楽しめます。
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枇杷
ビワはバラ科の常緑高木で中国南西部原産です。実が楽器の琵琶に似ていることから名づけられました。日本には古代に持ち込まれたとされ、本州の関東以西の沿岸部、石川県以西の日本海側、四国・九州に分布しています。

実は甘く中に大きな種があります。花は11月〜12月に咲き、多数の実ができるため、摘果しなければ食べるに足るほどの実にはなりません。
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アナベル
アナベルはアメリカノリノキ(アメリカアジサイ)の園芸品種の名前です。北アメリカ東部原産で野生種はまばらな装飾花がつく程度でした。品種改良によって花房に装飾花をたっぷりつける現在のようなものになりました。

大きなものでは花房が30cmにも及ぶそうです。真っ白なものの他に近年ではピンクのものも作出されています。
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磯鵯
先日、近所を散歩していたら玄関先からイソヒヨドリが飛び立ってきました。見れば芋虫のようなものをくわえています。イソヒヨドリはその名前の通り磯近くが生息場所でしたが、21世紀以降内陸部にもしだいに住処を広げています。

囀りは澄んで美しく羽の色もよく目立ちます。それほど人を恐れず、人家の近くで屋根の上で囀っていたりします。イソヒヨドリやカワセミは環境の変化に適応して生息域を広げている野鳥だと思います。
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のうぜん花
ノウゼンカズラはノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉性つる性木本です。あのオレンジ色、まさに真夏の花です。

JR播但線と国道312号線が市川に並行して走っている、かつての香寺町と姫路市との境あたりに名城酒造という酒造会社があります。昔は会社の建物の壁いっぱいにノウゼンカズラを繁らせていて、列車からも車からも印象に残る風景でした。

英語の名前は「トランペット・ヴァイン」あるいは「トランペット・クリーパー」「トランペット・フラワー」といいます。これは花の形がトランペットに似ているからで、確かにそういわれればそうです。
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グラジオラス
グラジオラスが咲き始めました。グラジオラスはアヤメ科グラジオラス属の総称です。原産地はアフリカ・地中海沿岸で、日本には明治時代に入り唐菖蒲、阿蘭陀菖蒲とも呼ばれました。

名前はローマの剣のグラディウスに由来します。古代ローマ時代から栽培されており、薬用、食用として、また儀式や行事にも用いられました。

戦士たちは勝利を祈ってグラジオラスを持ち歩き、戦場で掲げることで「剣のように力強く戦う」という決意を示したとされています。そのため、グラジオラスは「勝利」や「勇敢さ」の象徴とされていました。
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梅雨明け
異例ともいえる早い梅雨明けで、強烈な日差しが降り注いでします。日照は最も強いころであり、昼食の用意のために水道をひねったらお湯が出てきました。部屋は風通しがよく、酷暑という感じではないですが。
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梅雨明け
6月27日に近畿地方の梅雨明けが発表されました。統計史上最も早い梅雨明けとか。最近の屋外作業員は全員空調服を着ています。実はこれは日本発祥で、株式会社空調服の創業者である市ヶ谷弘司氏が2004年に特許を取得し、実用化を開始しました。

当初は建設現場や工場などの高温環境での熱中症対策として開発されました。普及が本格化したのは2010年代に入ってからで、近年の猛暑の深刻化により、屋外作業員の安全対策として急速に広まりました。そのうち夏の季語になりそうです。

これを見た時、素晴らしい発想だなあと感心しました。仕組み自体は至ってシンプル。 小型バッテリーで作動するファンで服の中に外気を取り込み、体の熱と汗を気化させて冷却効果を得ます。コロンブスの卵的な発明ですよね。
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額の花
アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で、一般には手毬状に花のついたものを意味します。これは狭義にはホンアジサイといわれ、原種は日本に自生するガクアジサイで、ここからの品種改良によって生まれました。

花(萼)の色が変わりやすいことから「七変化」とも呼ばれます。色の変化にかかわるのはアントシアニンの一種によるもので、ここに補助色素とアルミニウムイオンが関係することによって色が変わります。

土壌の酸性度によって色が変化し、「酸性なら青、アルカリ性なら赤になる」と言われるのは、酸性ならばアルミニウムイオンが土壌に溶け出しやすく、根から吸収されてアントシアニンと結合して青色になりやすいからです。
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六月
インパチェンスの正式名称はアフリカホウセンカといいます。ツリフネソウ科ツリフネソウ属の春まき一年草で、初夏から秋まで長く花を楽しめます。

その名の通りアフリカのタンザニアからモザンビークにかけての海抜1,800m以上の高原地帯が原産です。19世紀にヨーロッパに入り、そこから園芸品種として改良されました。

開花期間が長いため夏の花壇を彩る花として重宝されます。丈夫な花である一方、高原地帯原産であるため日本の高温多湿の夏ではやや育てにくい一面もあるようです。
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