□◆□…優嵐歳時記(347)…□◆□

   背伸びする窓の向こうに山笑う  優嵐

昨夜の雨は夜のうちにあがり、今日はまた暖かな姫路でした。
「山笑う」とは、早春の山がうっすらと霞がかってどことなく
艶めいてくるさまをあらわしています。「春山澹冶にして笑ふ
が如く」といった北宋の山水画家郭煕の言葉から出た季語です。

どうように山を擬人化して夏は「山滴る」、秋は「山粧う」、
冬は「山眠る」といいます。命の目覚めの季節を迎え、生気
がきざしはじめた山の雰囲気を「笑う」ととらえたものです。
笑うといっても大笑いではなく、ほのかに微笑む感じでしょう。
雪国の山はまだ深い眠りの中でしょうが、姫路のように暖かい
ところでは、確かに山は微笑み始めています。