秋深し
先日、増位山に散歩に行ったら、蛇ヶ池の畔で蓄音機をかけている人に出会いました。音を聴いただけで昔の音楽だとわかり、そばに行ってお話をきかせてもらいました。かかっていたのは60年以上前のSPレコードです。江利チエミの「テネシーワルツ」や「ペーパームーン」はわかりました。

蓄音機はゼンマイ仕掛けで動いているそうで、一曲かけるごとにハンドルでゼンマイを巻きなおします。針も鉄製で一曲ごとに取り替えます。SPレコードは60年前に製造が終わっており、曲は当然そのころより前のものばかりです。クラシックではなく、流行歌なのでジャズ以外は古色蒼然としています。

「なぜこんな曲を?」とたずねると、音楽よりは蓄音機への興味から入って、そのうち音を聴くにはSPレコードが必要なので、集めるようになった、とのこと。SPレコードのコレクションは数百枚以上あると言われていました。

CDどころか、ダウンロードで曲が買える時代、定額聴き放題の時代に何ゆえ、とも思いますが、蓼食う虫も好き好き。針を交換しつつ何曲か聴かせていただいているうちに、一曲一曲が貴重なものに思えてきました。蓄音機の内側の鷹の彫り物も不思議な雰囲気をかもし出していました。DSCN0181