五月
「播州皿屋敷」は怪談。姫路城に残るお菊井戸にまつわる伝説を劇化したものです。戦後の上演回数は少なく珍しい演目だということです。

悪事を企む細川家家老の浅山鉄山が、自身の横恋慕を受け入れないお菊に罪をきせて惨殺する場面の残酷な美しさが描かれます。お菊が「一枚、二枚…」と皿を数え幽霊となって現れるのは後半です。鉄山を中村橋之助、お菊を中村虎之介が演じました。

「鰯売戀曳網」は一転してコメディタッチの明るい作品で、鰯売りの猿源氏を中村勘九郎、猿源氏が憧れる傾城蛍火を中村七之助が演じました。子役も出ていました。主役を演じる歌舞伎俳優たちは、名のある家に生まれ幼いころから稽古を積んで所作を身に着け、舞台を務めるようになるのでしょう。
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