冬紅葉
岩崎宏美の20代における声は「火曜サスペンス劇場主題歌」のような劇的で深刻な表現に適していました。ドラマティックに歌い上げ、人生の苦悩と葛藤を歌います。「歌がうまい」と誰でもわかりやすく、大人の表現だと誰もが感じるでしょう。

天地真理の声は違います。彼女が岩崎宏美を歌うかどうかは別問題として、そもそも声質がそういう深刻で劇的な表現にむいていません。同じように、20代の岩崎宏美が天地真理を歌っても、天地真理のような優しく広々と包み込むような歌にはならないと思います。

歌手の根本的な生命は声の質でしょう。一発で心をもっていかれるのは、そのときの自分の心の琴線にふれる声に出会ったときです。
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