桜冬芽
能天気とすら思われかねない天地真理の歌と、深刻にドラマティックに歌い上げる岩崎宏美の歌を比べたとき、『ゲド戦記』の翻訳者清水真砂子さんが児童文学と大人の小説の違いについて述べたエッセイを思い出しました。

彼女は子どもの頃、大人の小説を読んで「なんで不幸と恋愛ばかり書いているのだろう」と不思議に思っていたとか。私も同じような感想を抱いていました。にもかかわらず、大人の小説は児童文学より高尚なものとして扱われます。本当にそうなのでしょうか?

清水さんは児童文学の魅力について、「この世界は生きるに値する」そのことを繰り返し子どもたちに語るものである、と書いていました。児童文学は向日性に満ち、明日への希望を描きます。天地真理の全盛期の歌の世界もそれと同じです。
IMG_6722