春淡し
四天王寺は日本仏教始まりの地ということから、さまざまな札所になっています。布袋堂が大阪七福神の巡拝先です。布袋は宋代末期ごろに中国に実在した伝説の仏僧です。常に頭陀袋を背負っていたところから布袋と呼ばれ、七福神に取り入れられていきました。

ここは聖徳太子の乳母を祀っていたという伝説があり、もともとは母乳の出が良くなるようにという信仰を集め「乳布袋尊」とされました。しかし、現在は乳がんの平癒を願い参拝される方が増えています。庶民の信仰はこういう形で変わっていくのでしょう。

粉ミルクが無かった時代、母乳の出が悪いことは赤ちゃんの命を左右する一大事でした。しかし、今はそうした心配はなくなり、増加する乳がんから救ってくれる対象へといつしか変わっているのです。かけられている絵馬も大半がそれを祈るものでした。
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