「人間は血管とともに年を取る」と言われます。しかし、「人間は免疫とともに年を取る」というのがより正確です。がんの発症は免疫機構からの回避による問題です。

もう一方の最大死因である脳心臓血管系疾患でも免疫系が主なプレイヤーです。動脈硬化の進行には慢性炎症が深く関与しており、免疫細胞が重要な役割を果たします。免疫系の過剰な活性化は血管内皮細胞の機能を障害し、血栓形成や血管収縮を促進します。

免疫細胞の浸潤は動脈硬化プラークを不安定化させ、破裂のリスクを高めます。免疫細胞は感染症から身体を守るには欠かせない働きをしますが、中年期以降に発症が増加する疾病においては二つの顔を持っているといえます。
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