春惜しむ
普通のキーボードで『バッハのインヴェンション』も弾いています。頻繁にトリルやモルデントといった装飾音符が登場し、弾き分けるのが難しいです。これを「ピアノの旧約聖書」という人がいます。しかし、楽譜通りに現代ピアノで弾こうとしたら指を痛めそうです。

バッハの活躍したバロック時代には今のようなピアノはありませんでした。バロックの鍵盤楽器といえばチェンバロです。鍵盤のタッチはとても軽く現代ピアノのように長く音を伸ばすことはできませんでした。それを補うために装飾音符を多用したのです。

今のピアノはベートヴェン以降に登場し、ロマン派のような重厚な音楽をコンサートホールで響かせるために発達しました。同じ鍵盤楽器とはいえチェンバロとは性質が違います。バロックや古典派前期の鍵盤楽曲を現代ピアノで弾くのはそもそも無理があります。
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