□◆□…優嵐歳時記(582)…□◆□

   帰り花ひとつ咲きたり暮の秋  優嵐

市川の堤防沿いに植えられている桜はいつの間にかすっかり
葉を落としていました。桜は紅葉するのも落葉も早い木ですが、
この一角は特に早いようです。葉が落ちた枝先にちいさな
帰り花が咲いていました。「帰り花」は初冬の季語で、季節
外れに咲く桜やツツジなどを指します。

「暮の秋」は秋の暮とまぎらわしいですが、こちらは「秋が
暮れていくころ」つまり「晩秋」を意味しています。同じ意味
とはいいながら「晩秋」と「暮の秋」とでは句に与える感覚
が少し違ってきます。このころを指す季語は他に「行く秋」
「秋の名残」「秋の果」など数多くあります。