□◆□…優嵐歳時記(19)…□◆□

     月影を隠しきらずに春時雨  優嵐

仕事を終えて帰ろうとしたら、車のボンネットが少し濡れていました。
時雨があったようです。降るか降らないかという程度の微妙な雨で、
西の空にぼんやりと霞んだ上弦の三日月が浮かんでいました。車を
出したら、またぱらぱらと雨がきました。

「時雨」は降ったりやんだりする通り雨のことで、冬に最も多いため
冬の季語になっています。そのため春の時雨は、季語としては
「春時雨」と詠みます。冬の寂しさ、うら悲しさを感じる「時雨」
と異なり、同じ時雨であっても春時雨には空気のやわらかさ、暖かさ
を感じます。