□◆□…優嵐歳時記(31)…□◆□

    たゆたうは春の夕べの心地かな   優嵐

春らしい陽気が戻り、今日は気温があがりました。寒さが緩むと、
やはり気持ちもどこかゆったり、のんびりした感じになります。
今日の季語は「春の夕べ」です。「春夕(しゅんせき)」「春夕べ」
などとも言います。

清少納言は「秋は夕ぐれ」といいましたが、これを受けて後鳥羽院
は「見渡せば山もと霞む水無瀬川夕は秋と何思ひけむ」と詠んで、
春の夕べをたたえました。私も後鳥羽院派です。つるべ落としに日
が落ちて、あっと言う間に暗くなってしまう秋の夕べよりも、日没
後も長く明るさが続く春の夕べは、気分をのびやかにしてくれます。

仕事を終えてMTBで職場を出ると、ちょうど山の端に夕陽がかかろう
としていました。春の寒さもやわらぎ、風もない、こんな夕暮れ時
はペダルを踏むスピードも少し緩んで、どこかおおらかな気分です。
空全体に薄いベールがかかったような淡い春の夕空を眺めながら、
家に向かいました。