□◆□…優嵐歳時記(33)…□◆□

    卒業す柱の傷を追い越して  優嵐

日本では、小学校から大学まで卒業式は2月下旬から3月下旬まで
の一ヶ月間に集中します。慣れ親しんだ友人や先生と別れ、学校の
建物を後にする感慨には特別のものがあります。

今日は、中学の卒業式でした。中学の3年間というと、幼児期を除
けば人が最も激しく変貌する3年間ではないでしょうか。子どもと
して入学し、青年として卒業していきます。第二次性徴が現れ、精
神的にも大きく飛躍します。昔なら、とうに元服し大人の仲間入り
です。

ドイツ語では「あなた」を表す言葉が二種類あります。ごく親しい
人や子どもに対して用いられる"Du (ドゥ)"と、敬称として用いら
れる"Sie (ズィー)"です。教師が生徒を前にしたとき、15歳あたり
を境によびかける言葉が"Du"から"Sie"に変わるそうです。生徒とい
えども一人前の大人とみなして話す、ということなのでしょう。