□◆□…優嵐歳時記(55)…□◆□

    見渡せば灯火のごとし山桜   優嵐

今の職場の周りは山と田んぼが多く、自然がいっぱい残っています。
今日はとてもいいお天気で、昼休みに散歩をしてきました。すぐ近く
に里山を生かした自然公園があり、そこの遊歩道を辿っていくと、
まわりを見渡せる場所に出ます。ヤマザクラがあちこちに咲いていま
した。日本の野生桜の代表で、関東以西の山地に広く分布しています。
赤茶色を帯びた艶のある若葉と、一重の小ぶりな花で遠目にもそれと
すぐにわかります。

同じ桜でもソメイヨシノとは全く別の品種です。ソメイヨシノは江戸
末期に江戸駒込、染井村の植木商から広まった比較的新しい品種です。
平安時代の和歌に詠まれている桜は、このヤマザクラと考えていいで
しょう。本居宣長は「しきしまの大和心を人とはば朝日に匂ふ山桜花」
と詠んでその美しさを称えています。奈良の吉野山や京都嵐山などの
が山桜の名所としてよく知られています。