□◆□…優嵐歳時記(70)…□◆□

    ラーメンをすする人乗せ山笑う   優嵐

久しぶりに山へ行ってきました。俳句では春の山を「山笑う」と詠み
ます。出典は中国宋代の禅宗の画家郭煕の「春山淡冶にして笑ふが如く」
にあると言われています。春を迎えた木々がしだいに芽吹き、山の色
が潤みを帯び、春日に照らされた山が笑みを浮かべているようだ、
というたとえです。峻険な山にはこういう感じはあまりありませんが、
中国山地のようななだらかな低山にはぴったりの形容でしょう。

山に登ると、山頂でラーメンを作ります。具も何も入っていないのに、
山の上で食べるラーメンのおいしさは格別です。今日はとてもいい
お天気で、風もほとんどなく、1000m近い山頂から周りの山々や、その下
に広がる集落、川筋などをながめ、のんびりラーメンをすすりました。
ときおり鶯の囀りが聞こえ、目の前を滑るようにイワツバメが飛び交い
ます。眼下の谷では、まだヤマザクラが花をつけていました。