優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:ニッカウヰスキー余市蒸留所

冬近し
モルトウイスキーは次のような行程を経て作られます。

1)製麦:原料の大麦を水に浸して発芽させ、麦粒の中に酵素を生成する。
2)乾燥:発芽した麦をピートや無煙炭を焚いて乾燥させ、麦の生長を止めてモルト(麦芽)を作る。燻したピートの香りがモルトに移り、ウイスキー独特の香りになる。
3)糖化:細かく砕いたモルトと65℃前後の温水をゆっくり混ぜ合わせる。麦芽の酵素が働き、甘い麦汁ができる。
4)発酵:ろ過した麦汁に酵母を加え発酵させると、アルコール分7〜8%の発酵液(もろみ)ができる。
5)蒸留:発酵液を加熱し、アルコール分と香味成分を抽出する。
6)貯蔵・熟成:蒸留液をアルコール分63%程度に調整し、樽に詰めて長期間熟成させる。

余市蒸留所では、蒸留に石炭直火方式を採用しています。本場スコットランドでも珍しくなった昔ながらの製法で、重厚でコクのある原酒ができあがります。

熟成の過程で、樽材の成分や気温・湿度によってさまざまな個性を持つウイスキーへと変化していきます。その間に原酒は三分の一程度が蒸発します。これは「天使の取り分」といわれているそうです。
IMG_0142
IMG_0124
IMG_0151

蔦紅葉
ニッカウヰスキー余市蒸留所の正門を入ると、乾燥棟、粉砕・糖化棟、発酵棟、蒸留棟、混和棟が両側に並んでいます。いずれも柔らかなグレーがかった壁に渋味のある朱色の屋根で統一され、絵になる眺めです。

その奥に小さな木造建築があり、壁に蔦がはっていました。1934年(昭和8)に建設され、創業者・竹鶴政孝が事務所として使っていた建物で、余市町の指定文化財になっています。
IMG_0127
IMG_0132



一位の実
北海道で最初に訪れたのは、余市にあるニッカウヰスキー余市蒸留所でした。新千歳空港でレンタカーを借り、そこから高速道路を使い札幌、小樽を抜けて余市町まで90分ほどでした。途中どこかのSAでお昼を食べようと思っていましたが、全くSAがなく驚きました。

結局、余市蒸留所の近くにある道の駅スペースアップルよいちまで走りました。すぐ隣に余市宇宙記念館があります。余市町は宇宙飛行士毛利衛さんの出身地だとか。残念ながらこの日は休館日でした。

近所の「食事処たけや」に入り、昼食をとりました。ウニやイクラ、カニなどがのった海鮮丼が名物のようでしたが、お昼に食べるには値段が高く、他に何か名物は?とたずねると、ザンギと言われました。ザンギとは鶏のから揚げのことです。880円の低価格ながら、ザンギは熱々ジューシーで、とても美味しかったです。

店の前の広い道を50mほど歩いていくと、蒸留所の正門に着きます。見学は無料で、最後にウイスキーを三杯無料で試飲できます。建物の多くが国の有形登録文化財になっており、その間に紅葉した木々が点々とあり、そぞろ歩くだけでも趣のある場所です。

ところどころにイチイがあり赤い実をつけていました。イチイは高さ20m近くにもなる常緑高木で、北国に多く見られます。実は9、10月ごろに赤く熟し、果実酒にもなります。
IMG_0118
IMG_0114
IMG_0117

このページのトップヘ