優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:ハイドン

花の峰
ハイドンの交響曲全曲聴破を試みています。彼は「交響曲の父」と言われます。彼以前の作曲家も交響曲を作曲していますが、クラシック音楽で定番のソナタ形式という交響曲の形を整えたのはハイドンです。

ハイドンは活躍期間が長く膨大な作品を残しています。中でも交響曲は残されているものだけで108番まであります。これがいかにものすごい数かと言えば、同じ古典派に属するモーツァルトは41番、ベートーヴェンは9番までで終わっています。

ハイドンはそれ以外にも管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、宗教曲などもそれぞれ一覧表になるほど量産しており、ひととおり聴くだけでも大変な時間がかかります。
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三月
ハイドンと同じ古典派前期に活躍した作曲家にボッケリーニ(1743-1805)がいます。ハイドンやモーツァルトに比べると今ではややマイナーな印象ですが、チェロの名手でもありました。20世紀になってから再評価が進んでいるようです。

ボッケリーニの音楽も明るく軽やかで優雅です。これは古典派前期の特徴で、彼らが王侯貴族に雇われていたからです。軽やかで明るい旋律は当時の貴族が求めたものでした。雇い主の好みにあわない曲を作っていては解雇されてしまいます。

フランス革命を経て顧客が王侯貴族から市民階級へと変わったロマン派の音楽では、ドラマチックで重いものが増えていきます。ベートーヴェンは古典派に分類されていますが、曲の雰囲気からするとロマン派の先駆けと感じられます。
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啓蟄
昨日は二十四節気の啓蟄でした。目が覚めると雨が降っていました。寒さが緩み冬ごもりの虫がはい出るという意味ですが、一日中しっかり降ったので、まだ出てくるのは見合わせているでしょう。

最近、YouTubeでGiovanni Paisiello(1740-1816)のピアノ協奏曲を聴き、とても気に入りました。ハイドンより8歳下なのでほぼ同世代です。ナポリで名声を博し、エカチェリーナ2世のロシアに招かれ、ウィーンでも活躍しました。

明るく軽快な旋律はハイドンのピアノ協奏曲に通じるものがあります。これは18世紀後半(古典派前期)の音楽の特徴なのでしょう。こうした知られざる音楽家の曲が聴けるようになったのはYouTubeのおかげです。
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春の陽
雨や曇りの日が多いですが、時おり晴天になると日差しの明るさが飛躍的に増しているのに気づきます。

本格的にクラシックを聴くようになったきっかけはハイドン(1732-1809)でした。ハイドンの活躍期は18世紀後半です。彼の音楽には秩序と遊び心が共存しています。私はピアノ協奏曲が特に好きで、明るく美しい旋律が魅力的です。

彼は啓蒙主義時代の人で生涯の間にアメリカ独立戦争、フランス革命が起きました。同時代人にはエカチェリーナ2世、ワシントン、カント、ゴヤ、シェイクスピアなどがいます。日本では江戸時代中期から後期にあたり、歌麿、北斎などが活躍しました。
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いぬふぐり
オオイヌノフグリの青い花が美しい季節です。Massimo Palumboがハイドンのピアノ協奏曲とディベルティメントを全曲録音したシリーズをYouTubeでずっと聴いています。耳に心地よく、4時間あまりあるのでBGMにも最適です。

何度も聴いたのでほぼ全曲を覚えました。他のものも聴きますが、これが今のところベストです。この中の何曲かをHaydn-Trio Eisenstadtが室内楽に編曲したものも聴きますがこれもいいです。

まだ交響曲はほとんど聴いていません。膨大な作品があり、とても彼の作品全部は聴けないだろうと思います。他の作曲家も聴きますが、今のところはハイドンで手一杯です。
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春隣る
ハイドンを知ってその曲を探すうち、これは昔好きな歌手のアルバムの発売を待っていたような感覚だと思いました。自分が生まれるずっと前からあった音楽ですが、それでも自分にとっては新曲です。

あまり一気に聴いてしまわない方がいいと思いながら聴いています。流行歌のアルバムを買っていた頃は、それを何度も聴いてそれらの曲は自分の中にしみ込んでいました。シングルで発売されない曲にも大好きな曲がいくつもありました。

ハイドンの曲にもメジャーなものとそうでないものがあります。ピアノ協奏曲で有名なのは11番ですが、それ以外にも素晴らしい曲があり、そういう曲を自分の中で消化できるまで何度も聴こうと思っています。
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晩冬
ハイドンの音楽を毎日聴いています。250年ほども前に作られた作品ですが、今も新鮮です。ピアノ協奏曲を全部聴いた後、それらをオルガン、ハープシコードなどで演奏しているものも聴きました。それぞれ異なる魅力があります。

クラシック音楽と一口にいっても、バロック(1600-1750頃)、古典派(1730-1820頃)、ロマン派(1810-1920頃)と大きく三つの時代に分けられます。この区分を頭に入れてから聴くと、時代による特徴と自分の好みがわかってきます。

ハイドンが作曲をおこなったのは1750年頃から1802年までなので、古典派中の古典派です。ソナタ形式、美しい旋律、それが古典派の特徴で、うっとりするようなメロディが次々に現れます。
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春を待つ
聴き始めていたEkaterina Derzhavinaのハイドンのピアノソナタ全集の続きを聴いています。モーツァルトがピアノソナタを18曲書いている一方で、ハイドンは60数曲書いています(真偽がはっきりしない作品がいくつかあるためです)。

モーツァルトを聴いた後でハイドンを聴くと、シンプルというか、素朴な温かみを感じます。巨匠たちのピアノソナタを聴く基準として、まずは「全集」を録音している人に限ろうと決めました。

全集録音に挑戦しているということは、そのピアニストがその作曲家に深い思い入れを持っていると解釈できます。CD9枚分10時間もの録音を完成させるなんて、並大抵のことではありません。
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松過
ハイドンの「ピアノ協奏曲全集」として録音されているものを三種類見つけました。ひとつめがMassimo Palumboによるもので、これはかなり範囲を広くとっており、ディベルティメントなどもあわせてCD4枚4時間半近い録音です。

ハイドンの時代は楽譜の保存状態が悪く失われたものが数多くあります。一方、著作権という概念が薄く、人気に便乗して彼の作品と偽って発表された作品もありました。

彼のピアノ協奏曲として定番といえるのは、ホーボーケン番号XVIII1,2,3,4,5,6,8,10,11のようです。Melodie Zhaoのものも、Matthias Kirschnereitのものもこれらをすべて録音しCD2枚で「全集」としています。
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マフラー
ハイドンの「ピアノ協奏曲」も厳密には<鍵盤楽器協奏曲>です。ハイドンの作品を整理したホーボーケン番号ではXVIIIに分類される作品群です。

この時代のピアノは「フォルテピアノ」と呼ばれました。イタリア語で強弱を意味し、演奏で音の強弱をつけることができるようになりました。当時は5オクターブから5オクターブ半の音域で、ハイドンはその範囲内で作曲したのです。

現在のピアノは88鍵あり、7オクターブ3度の音域です。作曲家が生きていた時代の楽器を再現して演奏すれば、作曲家がイメージした音楽をある程度再現可能とされています。もちろんモダンピアノで弾いても魅力は十分です。
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