優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:バッハ

暮の春
バッハを弾くようになったのはMAGN(抗MAG抗体陽性ニューロパチー)と診断されてからのことです。ごく稀な病気のうえに患者間でも症状や進行の程度が全く異なります。それゆえ治療法どころか患者会での情報交換も無意味です。

筋力が落ちる人もいますが私の場合は筋力は健常者とほぼ変わりなく、足裏の感覚異常と疼痛があります。神経障害性疼痛のため完璧に抑え込める鎮痛剤は無い。ごまかす手段として瞑想を考えました。認知行動療法というやつです。

ただ、座る瞑想は私には向きません。退屈。バッハを弾いているととても瞑想的な音楽だなと思います。曲の構造もそうだし、ひとつひとつの指の動きに神経を細やかに集中させる必要があり、没入感が得られます。
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裸木
落葉の早いソメイヨシノですが、珍しくまだ葉を残しているものがありました。落葉を終えた木を季語では裸木(はだかぎ)といいます。

バッハのインヴェンションを毎日練習しています。YouTubeでプロが演奏しているものを聴いてみると、人によってテンポがいろいろです。バッハの時代には楽譜に速度を指示することはありませんでした。演奏者の解釈にまかされていたようです。

「超ゆっくり」で弾いているレッスン動画もあります。こういうものを聴くと、楽曲の構造がよくわかります。どれが正しいというものはなく、速く弾ければいいというものでもないようです。解説動画もありますが、あくまでそれはその人の解釈です。
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晩秋
電子ピアノで「バッハのインヴェンション」を練習しています。ずっとピアノの音で弾いていましたが、昨日は試しにチェンバロの音で弾いてみました。これが思った以上によくて驚きました。

バッハの時代には現在のようなピアノはありません。バッハがこれらの曲を作った時想定していたキーボード楽器はチェンバロだったはずです。そう思えばチェンバロの音の方が馴染むのは当然でしょう。

オリジナル楽器といって、作曲家が生きていた当時の楽器を再現して演奏することが20世紀後半から行われています。電子ピアノのサンプリング音源ですらこう感じるのですから、アナログの実物楽器ならその差はさらに大きいでしょう。
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最近よくテレマンを聴きます。クラシックではバロックから古典派が好きです。バロックの代表的作曲家といえばテレマン(1681-1767)、ヘンデル(1685-1759)、バッハ(1685-1750)などで、いずれもドイツ生まれです。

彼らの音楽の特徴を一言でいうと、テレマンは親しみやすく明るい旋律、バッハは緻密な構成と深い精神性、ヘンデルは壮大でドラマティック、です。

絶対王政の時代で、ルイ14世、ロック、ヴォルテール、ニュートン、ライプニッツ、フェルメール、レンブラントなどが活躍しました。日本では江戸時代中期で、徳川吉宗、松尾芭蕉、井原西鶴、近松門左衛門などがいます。
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クリスマス
バッハの『クリスマスオラトリオ』をBGMのように聴いてみました。六つのカンタータをあわせた作品で、一曲目の最初は聴いたことがありました。ティンパニとファンファーレで始まるバロックらしい華やかさに満ちた曲です。

演奏も素晴らしいですが、YouTubeでこの曲を検索したとき、ジャケット写真に目を奪われました。マリアと幼子イエスとはすぐにわかりました。それにしてもこのマリアの表情。不思議な憂いと哀愁が漂い中世と言うよりむしろ現代的な魅力を感じます。

これはヴェネツィア派のジョバンニ・ベッリーニ『聖家族の礼拝』(1505年頃)の一部を使用したものです。原画を検索するともっといろいろなものが描かれています。このアルバム表紙はそれらを切り取りマリアの表情に焦点を絞っています。
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冬青空
古典派のハイドンのひとつ前の時代はバロックでした。この時代を代表するのがバッハ(1685-1750)です。彼の『主よ、人の望みの喜びよ』は大好きな曲のひとつです。この曲が作曲されたのは1723年、今年でちょうど300周年です。

1723年というと、日本では江戸時代半ば、徳川吉宗が享保の改革を行っていたころです。いろいろな編曲がなされていますが、今一番親しまれているのはイギリスのピアニストであるマイラ・ヘスによるピアノアレンジです。
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