優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

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春長ける
最近は家にいる間はYouTubeで18世紀古典派の音楽を聴いています。パイジェッロはこのおかげで知り、毎日聴いている作曲家です。彼の子孫というM.モネッティが弾く一連のパイジェッロのピアノ協奏曲集は特に好きです。

サムネイルにその時代の絵画を使っている所が多く、それらの絵画を調べて画家の名前も覚えました。このCDカバーは1776年頃に描かれたピエール・ジャック・ヴォレールの『ヴェスビオ火山の噴火、ナポリの眺め』(メトロポリタン美術館蔵)です。

ヴォレールはフランス生まれですが、1769年にナポリに移り住みこの火山の絵をいくつも描いています。ポンペイ遺跡でも有名なこの山の噴火の風景に魅了された画家と想像できます。夜景の中に浮かび上がる噴火の様子を光と影を駆使してを劇的にとらえています。
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YouTubeでハイドンのピアノ協奏曲にふれたのがきっかけで、18世紀から19世紀初頭の音楽を片っ端から聴いています。クラシック音楽の中では古典派に分類され、日本ではハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの3人が有名です。

絶対王政の封建主義から近代民主主義への移行期で、クラシック音楽が最もクラシック音楽らしく形作られた時代だといえると思います。誰がどこの宮廷で活躍したのかなど背景知識もあわせて聴くとさらに面白いです。

この時代に限っただけでもものすごい数の録音が残されており、YouTubeを使えばそれらを無料で好きなだけ聴くことができます。好みの作曲家を見つける楽しさがあります。すでにパイジェッロガッティを見つけました。
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彼岸
ジョバンニ・パイジェッロのフルート四重奏曲もとても気に入って最近よく聴いています。フルート演奏はナポリ在住のGabriele Formentiです。降り注ぐ春の日差しのような、明るく軽やかなメロディーに満ちています。

最初の曲は1800年頃に作曲されたと考えられており、音楽出版の隆盛にあわせて上級アマチュア向けに書かれています。当時は出版された楽譜を買い求め家庭内で演奏するのが今の録音の代わりでした。

動画サムネイルに使われている絵は、フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー(1793-1865)の『聖母像を眺める少女』(1858)です。オーストリア帝国のビーダーマイヤー時代の画家で、彼らは身の回りの、日常的で簡素なものを題材に描きました。
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春しぐれ
クラシックのバロックや古典派を紹介したYouTubeの動画サムネイルには当時の絵画が使われていることがよくあります。これは演奏者のCDジャケットのことが多く、当時の著名な画家の作品です。

パイジェッロはマンドリン協奏曲も残しています。マンドリンは16世紀のヴェネツィアでリュートから派生したマンドラを小型化して生まれました。南イタリア・ターラント出身のパイジェッロにはなじみの楽器だったでしょう。

彼の『マンドリン協奏曲変ホ長調』のサムネイルにヴェネツィア派のジョバンニ・バッティスタ・ティエポロ(1696-1770)の『マンドリンを持つ女』が使われていました。こうして音楽をきっかけに同時代の画家たちを知るというのも面白いです。
Tiepolo_Gimbattista,_Woman_with_a_Mandolin,_c._1755-60



最近見つけたジョヴァンニ・パイジェッロの一連のピアノ協奏曲が非常に気に入って聴き続けています。YouTubeのコメント欄に「彼は最も過小評価されている作曲家だ」との言葉がありました。

イタリア人以外ではほとんどの人が「YouTubeのおかげでパイジェッロという作曲家を知った」と書いており、私もそうです。その時代において彼は最も人気を博した作曲家のひとりでした。ナポレオンのお気に入りの作曲家でもあったようです。

それが彼の悲劇につながりナポレオン失脚後はすべての職から追放され、失意のうちに亡くなったとか。ここでピアノを弾いているMariaclara Monettiは彼の一族に連なる人だそうです。ご先祖のジョヴァンニはきっと喜んでいるでしょう。
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