優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:八幡野温泉郷杜の湯きらの里

千代の春
「千代の春」は初春、新春と同じ意味の季語です。太陽暦の新年は真冬であるにもかかわらず「春」を用いるのは、太陰太陽暦である旧暦時代の名残です。日本では1872年(明治5)末までこれが使われました。

今年でいえば、旧暦の元日は2月6日、立春の2日後です。迎春という言葉が季節の感覚によくあてはまったのです。これらは春の七草、桃の節句、端午の節句、七夕、重陽などにも言えることです。

新年を迎えるころ、瀬戸内でもそうですが、伊豆のあたりでも落葉は完全に終わり林床には日差しが降り注ぎます。これから寒さは本格化する時季であるものの、日脚は長くなり、日差しも明るさを増していきます。
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初晴
大晦日の夜に強い風が吹き、元日の朝はそれがすっかりおさまっていました。きらの里の中には竹林に囲まれた「離れ」があり、前に水田があります。伊豆は東京など大都市圏に近く、そこからやってくる人たちには心癒される景色でしょう。

幼い子供連れの家族の姿もたくさんあり、子どもたちのための昔懐かしい射的が用意され、当てると景品がもらえるようでした。輪投げ、けん玉といったものもあり、フラフープを上手に回している幼い女の子を見かけました。
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元朝
施設内を散策していると、ロウバイが咲いていました。やはり伊豆は暖かいのです。近寄ると甘い香りが漂ってきました。新春、迎春というのは旧暦のお正月からのものですが、こういう景色にふれると、「迎春」にも実感を覚えます。
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初湯
宿でゆっくりするためにチェックアウトは午前11時にしていました。朝食後、今年最初のお風呂に行きました。露天にある甕の少し熱めのお湯に入り、それから石段をあがった先にある大きな檜のお風呂に入りました。
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新春
里山を模した施設内には足湯、水車、小川、鐘楼、貸切風呂、田んぼなどが点在しています。のんびり散策するにもちょうどいい大きさです。

小川には30cm以上ある淡水魚が泳いでいました。最初は鯉かと思いましたが、近づいて見ると鯉よりはかなりスリムで敏捷な泳ぎ方です。
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初御空
元日の空を「初空」あるいは「初御空」といいます。年越しの夜に強い風が吹いたおかげか、初御空は快晴でした。初日の出もきれいに見えたことと思います。私たちはおせち料理を食べるのに夢中になっていたころでしたが。
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注連飾
「八幡野温泉郷杜の湯きらの里」は里山を模した中に旅籠、別邸、離れなどが点在しています。それぞれの場所に注連飾が飾られていました。

旅籠八幡野の看板に添えられた注連飾は看板に沿ってくるりと曲げられています。注連飾や注連縄は藁を用いる以外は地域によって形に違いがあります。これがこの地域の伝統的なものなのかどうかはわかりませんが、今年の干支である辰を連想させました。
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節料理
元日の朝食はおせち料理でした。おせち料理の定番が少しずつ美しい器に盛り付けられています。こういう場所で初めて新年を迎えたときから、これは家庭では味わえない魅力があると思いました。

周りも飾りつけもすべて新春気分、自分は何も準備しなくてもこれらが出てきます。主婦にとってこれ以上のことがあるでしょうか。新年は特別料金になります。それでも早くから予約でいっぱいになるのは、それだけの魅力があるからです。
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年越蕎麦
「夜鳴き処」では年越蕎麦がふるまわれていました。22時の開始直後は大勢の人が並んで待っていました。お風呂に入ってあがってくるとすっかり人の姿は消えており、待たずに食べることができました。

何事も人よりさきに一番にやるか、あるいは人波が去って一段落してからやるかだ、との教訓をあらためて得ました。当たり前のことですが、人と同じときに同じことをしていたらしんどいばかりです。
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年の夜
旅館についたあと、まず夕食前に一度お風呂に入りました。さらに、夕食を終えて一段落した後、今年最後の湯に行きました。温泉施設の醍醐味はやはり大きなお風呂、そして露天風呂です。

露天風呂にも何種類かあり、大きな甕に熱めの湯があふれるものがふたつ、石で囲まれた大きなもの、さらに一段高いところに檜の浴槽を使った「杜の湯」があります。夜になってから風が出はじめ、まわりの大木の枝が風にあおられていました。
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