優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:兵庫県立いえしま自然体験センター

秋うらら
この日で先生がたは前半と後半の入れ替わりでした。全体を通して島にいるのはキャンプリーダーと救護スタッフだけです。

帰ったらビールを飲みたいといっている先生もありました。子どもたちにはデジタルから離れた環境をといいつつ、先生たちも他のスタッフも私以外は全員スマホを手にしていました。海辺に出ればかろうじて通信は可能なのです。

デジタル製品から完全に離れることはこれほど難しいことなのだとその姿を見ていて実感しました。ゆっくり海の音を楽しむことも、星や夕映えを見ることもなく、ちらりと一瞥してすぐにデジタルの世界へ戻ってしまうのでしょう。
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秋の海
三日目も快晴。今日は「探検!発見!いえしま調査隊」と題してあらかじめ決めていた班に分かれての活動でした。それぞれの班でテーマを決めており、それに応じてクロームブックでスライドを作り最後の日に中間発表をするというものです。

カヌーで大ヤケ島の向こうの海岸まで行って漂流物を調べる班もあれば浜辺で魚を釣ってそれを調べたり、解剖したりという班もあります。ばらばらになるため、今日はお弁当を持っての活動です。

私は今日も突堤や浜辺での活動で、沖へ出ていく子どもたちをうらやましく思いながら見送っていました。
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星月夜
この日は夕食後、センター職員の解説を受けながら「夜の海観察・星の観察」がありました。昨夜は天の川が見えたそうですが、この夜は少し雲がかかり見えませんでした。

夜に咲く小さな黄色い花はコマツヨイグサです。マツヨイグサを一回り小さくしたような花で、夜に咲きます。北アメリカ原産の帰化植物で浜辺などでよく見られます。繁殖力が強いことから「要注意外来植物」の指定を受け、現在は駆除が行われています。
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秋高し
カヌー体験の後は突堤で釣り体験です。細い竹の先端に釣りキットをセットし、針にオキアミをつけて海に垂らします。こんなちゃちなもので釣れるのだろうかと思いましたが、突堤の下をのぞき込むと小さな魚がいっぱい泳いでおり、入れ食い状態です。

釣りが全く初めてという子でもコツさえつかめばどんどん釣り上げ、面白かったようです。こちらは日差しが照りつける中それらを見守っているだけでした。いつの間にかイワシの群れが突堤のすぐそばまで来ていました。

昨日の地曳網体験のときに来てくれていたらよかったな、とセンタースタッフの言葉。数時間かかって浜辺の端から端まで魚を並べたという大漁もあったようです。
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秋晴れ
自然学校はプログラム満載です。朝は6時半に起床。7時に芝生広場に集合して、ひょっこりひょうたん島主題歌の替え歌でおこなう体操をします。その後7時半から朝食です。

この日は8時半から、炊飯場で家族への手紙を書くという時間がありました。はがきに鉛筆で書くのですが、書きあぐねている子もいます。「昨日何をした?地曳網したやろ?それ書いたらええんちゃうん?」などと声をかけていきました。

9時からはセンタースタッフの指導のもと、磯観察です。箱めがねなども用意されています。膝くらいまで海に浸かってもいいという予定でしたが、夢中になって全身海に入ってしまう子もいました。安全さえ確保できればそれもまたよしです。
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秋深し
自然体験センター前の湾は南西に向かって開いており、宿泊する棟は背後の山の斜面に建てられています。太陽は山の向こうから昇って、小豆島の方向に沈みます。瀬戸内海は波が静かで、特に凪の時間帯は湖かと思うような海面になります。

湾の西側の入口周辺には養殖いかだが並んでいるのが見えます。昨日着いた船着き場の入口にも同様のいかだが見られました。カタクチイワシを育ててカツオ漁用の餌として販売しているのだそうです。
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秋祭
地曳網はセンタースタッフがあらかじめ網をセットしてくださっていたものを曳きました。子どもたちは軍手をはいて左右に分かれロープを握って曳いていきます。そのうち誰かがヨーイヤサーという播州の秋祭りの掛け声をかけ始めました。

必ず祭り大好きな子がいるものです。その掛け声が全体に広がってヨーイヤサー、ヨーイヤサーで網が曳かれてきました。こうして二度地曳網漁を体験しました。網に入っていた魚は小さく大漁とはいきませんでしたが、クロダイ、カワハギなどがいました。

これらの魚たちは夕食のテーブルに唐揚げになって登場しました。スタッフには二名の教育学部の学生さんがキャンプリーダーとして参加しています。彼らはいくつもの施設を体験していて、ここの食事は格別に美味しいと教えてくれました。その通りでした。
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天高し
先に到着して体力が余っている子が遅れている子たちの応援に来てくれました。そうして全員予定通りセンターの芝生広場に着き、炊飯場で持ってきたお弁当を食べました。その後、芝生広場で入所式、それから各自生活棟に入りしばし休憩をとりました。

15時から前の砂浜で最初のプログラムの地曳網体験です。砂浜からは湾の入り口にある大ヤケ島が見え、その彼方に霞んでいるのが小豆島です。小豆島の星ガ城山(816m)は瀬戸内海の最高峰であり、砂浜から眺めるとその高さが感じられます。

西島から小豆島は直線距離で約15km離れています。姫路港と小豆島の福田港との間にフェリーが就航しており、西島のすぐ西にある院下島との間を抜けて航行します。この海のどこかが兵庫県と香川県の県境です。
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秋の海
西島の船着き場から自然学校までは1.2kmの山越えの道を歩きます。これは、自然体験センターへ来る人に「自然体験」してもらう仕組みのひとつです。子どもたちは自分の荷物を背中に背負ったり肩に斜めがけにしたりして歩き始めました。

先生方やスタッフたちの荷物も巨大です。それ以外に救急用備品などの箱がふたつあり、これらはセンターの軽トラックで運んでもらえます。私はこの道に備え25L入りのバックパックひとつに入るよう荷物を厳選してきました。そして、荷物の少なさに驚かれました。

かつて自転車旅行をしていた経験で荷物を少なくするコツを覚えました。「絶対に必要なものは何か」を考え持ち物をそぎ落とすのです。荷物の重さに遅れがちな数人の子どもたちを励ましつつ登っていくと、やがて峠の向こうに体験センター前の湾が見えてきました。
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