優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:吉野荘湯川屋

梅雨の晴れ
吉野神宮から吉野神宮駅に向かって坂を下っていると、後ろから軽自動車のバンがやってきてすぐそばに止まり「駅まで乗ってください」と声をかけられました。驚いてそちらを見ると、先ほど送ってくださった吉野荘湯川屋の方でした。ありがたく乗せていただきました。
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朝涼
朝食にも吉野葛は使われており、熱々の出汁巻き卵が出てきました。お米は奈良県産ヒノヒカリです。コシヒカリと黄金晴をかけ合わせた水稲うるち米で、小粒であっさりとしていながら食べ応えがあるという特徴を持っています。

奈良県産ヒノヒカリはお米の食味ランキングで6年連続「特Aランク」を獲得していたことを初めて知りました。お米といえば東北や北陸というイメージでしたが、ヒノヒカリは西日本で多く栽培されているようです。
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夏の朝
朝ごはんの最初に茶粥が出てきました。茶粥は奈良の郷土料理のひとつです。ほうじ茶の中にご飯を入れて炊いたもので、さらっとしているのが特徴です。その後にご飯が出てくるため量としてはほんの一口ですが、これだけで奈良らしさを感じられる朝食です。
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青葉
朝食は8時にお願いしていたので、それまでに朝風呂に行きました。こちらのお風呂は「吉野の湯」という日帰り入浴施設としても利用されています。日帰り入浴客と宿泊客とでは、利用時間が真逆になり、施設を有効に使える方法です。
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葛餅
食事の最後のご飯に奈良県産ひのひかりが出てきました。とても美味しかったのは炊き方の腕と銘柄が重ねあわされてのことです。香のものは奈良漬など。甘味としてカスタードクリーム入りの笹巻葛餅をいただきました。小豆餡ではなく、カスタードクリームというのがユニークで、これもまた一味違って美味しいと思いました。
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会席料理の焼き物は鮎の塩焼きでした。鮎がそのまま泳ぎだしそうな姿で出てきたのには驚きました。串を打たれたわけでもなさそうなのに、鮎の躍動する姿が表現されています。
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夏料理
夕食は山の会席料理「西行御前」をいただきました。吉野を愛した西行にちなんだ西行鍋をはじめ、葛きり、饅頭吉野葛あんかけ桜包みなど、吉野葛がふんだんに用いられています。天ぷらにさえ本葛入り天ぷら粉が使われていました。

お箸は杉卵中箸(すぎらんちゅうばし)というもので中太両細 、一本利休箸とも呼ばれます。千利休は客を招く日の朝、吉野から取り寄せた杉の箸材を削って客の人数分の箸を揃えました。このお箸は柱を作るときの廃材を利用して作られるそうです。
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青葉
夕食までにまずお風呂に入りました。内風呂には吉野の木材が使われており、露天風呂からは吉野の山々を眺められました。風の音はしていたものの露天風呂に吹き込むことはなく、雨もうまく避けられていてのんびりとお湯を堪能しました。
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チェックイン時間を過ぎたので宿に戻りました。吉野荘湯川屋の建物は吉野建(よしのだて)という様式で建てられています。谷の斜面を背にした木造建築で正面からは二階建てで玄関は一階のように見えますが、建物は谷に向かって下方へ二階、三階となっています。この独特の様式が吉野の景観を形作っているのです。

吉野に宿を開かれて300年の歴史があり、玄関には嘉永元年(1848)に湯川屋のことが書かれた「芳野日記」が飾られています。あずけていた荷物はすでに部屋に運ばれており、案内された部屋には鮎を描いた掛け軸がかかっていました。
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さみだれ傘
この日の宿は吉野荘湯川屋でした。チェックインにはまだ早かったのですが、荷物を置かせていただき傘をお借りしました。折り畳み傘を持っていましたが、風が強くなっており心もとなかったのです。

ここから金峯山寺蔵王堂までは歩いて10分ほどです。国宝の仁王門は修理中で、すっぽり覆われています。雨はほんのわずかだったものの、強風で傘をさしているのが大変でした。蔵王堂も強風を避けるために正面の扉をほとんど閉め切っていました。
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