優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:増位山随願寺

春の池
山頂から自然歩道を戻り梅林を抜けて随願寺境内の放生池まで戻ってきました。池のほとりを歩いていると、池のあちこちで赤いものがちらちらと動いています。最初は水草かと思いましたが、近寄ってみると小さな緋鯉の群れでした。

三、四か所で塊になっており、こちらの動きを感知すると池の表面から下へ沈もうとします。初夏になるとこの池ではモリアオガエルが産卵します。そのときもオタマジャクシが池の水際に溢れます。

池にはアオサギなどの野鳥が飛んできます。これらの池の生き物を狩っているのでしょう。以前大きな緋鯉を嘴で串刺しにして飛び去って行くアオサギを見たことがあります。小さな池ながら、ここでも生命連鎖の一部が形作られているのです。
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花盛り
増位山随願寺は虚無僧とつながりがあり、現在も虚無僧保存会があって、毎年二月の追儺会では尺八の献奏があります。境内で桜を眺めていると、尺八の音が聞こえてきました。ここならではの風情です。

随願寺は中世末期には多数の坊舎が立ち並ぶ大寺院でした。しかし、1573年(天正元)三木の別所長治に攻められ、全山焼失。僧兵たちは印南の佐土に逃れた後、市内の嵐山景福寺(現在の西材木町)に居を構え虚無僧になりました。豊臣秀吉の天下平定後の1586年(天正14)、随願寺は再興され虚無僧たちは境内に尺八の音を響かせたそうです。
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落葉
先日まで見事に紅葉していた榊原政邦墓所前のイロハモミジはすっかり色を失っています。墓所の石段は周囲の木々から降り注ぐ落葉に覆われ、冬が進んでいくのを感じます。DSCN1041

残る紅葉
木々に残っている紅葉、風が吹くと枝から離れて落ちてきます。風が吹かなくても散るものは散るのですが、風がいっそうそれを急かしているように見えます。地表に落ちた紅葉はまだしばらくは色を保っていますが、やがて周囲の枯色に溶け込んでいきます。DSCN1037




冬紅葉
増位山随願寺の紅葉、ほぼ終わりですが、この月曜日に出かけたときには、思いがけず豪華な紅葉を堪能できました。イロハモミジの下の空間は緩やかな傾斜になっています。その斜面に寝転んで見上げると、自分の視界の全域が色づいた葉に覆われました。下は落葉が積もってふかふかです。幸せとはこういうひとときだよなあ、と実感しました。DSCN1008


落葉
増位山随願寺では紅葉のシーズンがほぼ終わり、一面の落葉に覆われる時期になっています。榊原政邦墓所前のイロハモミジも鮮やかな色を失い、そばにあるアベマキの大樹とともに大量の落葉を降らせています。石積みの常夜灯がある墓所前の広場はそれらの落葉に覆われています。
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冬紅葉
増位山随願寺は観光寺院とは違い、行事のときをのぞけば静かな山寺です。写真は姫路藩主榊原忠次(1605-1665)の墓所です。1649年に陸奥白河藩から播磨姫路藩に国替となり、1663年に幕府の老職に迎えられています。墓は子の政房によって建てられ、事跡を刻んだ碑文は幕府の儒学者・林鵞峰が作成しています。DSCN0851

冬の紅葉
増位山随願寺までは、ドライブウェイが通じています。山上駐車場から境内までは歩いてすぐなので、犬を散歩させている人に会うこともあります。車に犬を載せてきてここでおろして散歩なのでしょう。
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冬の紅葉
寒波の影響で北日本の日本海側では猛吹雪になっているところもあるようです。姫路ではまだ紅葉を楽しめます。冬の瀬戸内海沿岸は天気が安定し、からりと晴れ上がった青空が続きます。南北に長い日本列島の天候の差を最も感じるのが今の時期かもしれません。DSCN0771


冬紅葉
増位山随願寺は姫路で最も歴史のある寺院で、播磨天台六山のひとつです。平安時代には山上に三十六坊を有する大寺院でした。天正元年(1573)、三木の別所長治に攻められ全山を焼失。天正13年(1586)、羽柴秀吉によって再建されました。

本堂の大鬼瓦には元禄5年(1692)の銘があり、当時の姫路城主榊原忠次によって再建されたものです。様式的にも元禄時代を代表する建築で、国の重要文化財に指定されています。DSCN0732


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