優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:増位山随願寺

躑躅
ヤマザクラが咲き始めるころから一気に野山は春の花盛りとなります。増位山随願寺境内で早咲きのツツジの園芸種が満開になっています。増位山ではヤマザクラのすぐ後にコバノミツバツツジが咲き、薄紫色の花が自然歩道を彩ります。それよりもひと足早いツツジです。IMG_1635

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余寒
晴れていますが、冷え込みは続いています。寺社などの和式建築の屋根の端には鬼瓦が設置されています。随願寺の本堂、開山堂などにも鬼瓦は鎮座し、周囲を睥睨しています。鬼瓦の歴史は古く、1400年前に建設された法隆寺の若草伽藍に、すでに蓮華紋鬼瓦が見られます。

鬼は日本人にとって、恐ろしい怪物であると同時に身近な神さまでもあります。鬼瓦には瓦の継ぎ目を覆い雨漏りを防ぐ実用性に加え、屋根の飾りであり、厄を払う願いもこめられています。いぶし瓦は播磨地方の地場産業で、姫路城の75,450枚の瓦はすべて地元で作られています。

現在いぶし瓦の生産全国1位は淡路島です。淡路瓦の起源は江戸初期、池田輝政(姫路城主)の三男、忠雄が淡路藩主の時代です。忠雄は現在の洲本市由良に由良成山城を築城する際、播磨から瓦工の清水理兵衛を招き、瓦を作らせました。理兵衛が播磨に戻った後も弟子が淡路で製造を続け、それが今に至ります。IMG_1035
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寒戻る
増位山随願寺の本堂前には2月11日の鬼追い式の用意が整っていました。採燈護摩のための護摩壇が組まれ、ブルーシートで覆われています。まわりは笹の葉がついたままの竹がたてられ、これが結界を示すのでしょう。当日は護摩焚きの後、火渡りも行われます。IMG_1025



寒中
増位山随願寺は天台宗の寺院です。定期的に護摩堂で護摩が焚かれ、信者のみなさんが集まっておられるのを目にします。先日もその太鼓の音が自然歩道まで聞こえてきました。

播磨には播磨天台六ヶ寺と呼ばれる寺院があります。圓教寺(えんぎょうじ、姫路市書写)、随願寺(ずいがんじ、姫路市白国)、八葉寺(はちようじ、姫路市香寺町相坂)、神積寺(じんしゃくじ、福崎町東田原)、一乗寺(いちじょうじ、加西市坂本町)、普光寺(ふこうじ、加西市河内町)です。

平安時代後期以来、播磨の国衙(こくが=国の役所)が主催する法会に参加するなど、播磨全体の安穏を祈る寺院として位置づけられていました。IMG_0950

水仙
手水鉢の隣には枝垂れ桜が植えられており、その周りで水仙が咲いています。随願寺の境内では季節ごとの花が楽しめます。水仙のうちには、茎が折れて地面に倒れているものもありました。IMG_0953




寒椿
快晴で暖かな日です。増位山の頂から見る周囲の景色は、暖かさゆえに霞みがかかり、六甲山も淡路島もほとんど見えませんでした。梅林を見た後、本堂前にも行ってみました。

手水鉢の龍の横に花をつけたヤブツバキの枝が添えられていました。境内では梅だけでなく、ヤブツバキも次々開き始めています。椿は春の季語ですが、冬に咲くものもあり、「寒椿」「冬椿」として詠まれます。IMG_0951


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