優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:天地真理

小六月
今、天地真理にはまっていますが、その前は岩崎宏美を聴いていて、さらにその前はZARDを聴いていました。全部YouTubeからのご縁です。時系列的には逆と言われそうですが、そのときはそれが必要だからやってきます。

今はYouTubeなどのおかげで自由自在に音楽を聴けるようになりました。インターネット以前の時代では、テレビやラジオから流れてくる、今作られている音楽にしか触れられませんでした。いい時代になったと思います。
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木枯
天地真理の1stアルバム9曲目に入っている『虹と雪のバラード』は1972年に札幌で開かれた冬季五輪のテーマソングです。複数歌手の競作となり最終的にトワ・エ・モア版が最もおなじみとなりました。

女性ボーカルである山室英美子(当時21歳)の澄んだ声、それを支える男性ボーカルの芥川澄夫(当時23歳)の声が爽やかで、北の大地の空気を感じさせるナンバーです。

ここでも天地真理の歌は本家に負けない独特の魅力を持っています。彼女の歌は軽やかで明るいと同時に何ともいえない包容力に満ちています。歌声に広がりがあるとでも言えばいいのか、そこに穏やかに包まれて憩える声質なんですね。
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暮早し
天地真理の1stアルバムの4曲目に『涙は明日に』(1971)という曲が入っています。『戦争を知らない子どもたち』で有名なジローズの隠れた名曲です。ジローズの音源の最初のチリチリ音は、レコードならではです。

私は天地真理の歌で初めてこの曲を知りました。天地真理は彼女ならではの爽やかさ、軽やかさ、明るさで明日への希望を歌います。それぞれの歌詞の表現が的確で完成されています。とてもデビュー直後の新人とは思えません。
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冬紅葉
さて、天地真理を聴く日々が続いています。1stアルバムは71年12月21日(当時20歳)にリリースされ、デビュー曲『水色の恋』以外はすべて内外のカバーです。今は1曲単位の配信なので、アルバムという概念がなくなってしまったかもしれません。

この半世紀は音楽を聴く方法が大きく変化していった時代です。50年前はまだLPレコード、それを聴くための高価なステレオ装置が必要でした。カセットテープが一般に普及したのは70年代に入ってからです。

ウォークマン発売は79年。音楽を持ち歩けるようになりました。そしてCDは88年に発売。90年代に入ってインターネットが登場し、2010年代以降本格的にストリーミングが開始され、今ではそれが主流になっています。
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冬の紅葉
天地真理は現在に続く「アイドル」の系譜の最初の姿を作った人です。そのビジュアルに注目が集まりすぎ、歌の実力はほとんど顧みられていなかったようです。しかし、本家をしのぐのではないかと思うようなカバーも残しています。

さきにあげた『涙から明日へ』がそうですし、今回は『この広い野原いっぱい』を取り上げます。原曲は67年に森山良子(当時19歳)が発表しました。天地真理は72年9月21日(当時20歳)リリースのアルバムからです。

森山良子がやや淡々と突き放したように歌うのに対し、天地真理の歌は幸福感に満ち、とにかく明るく希望に満ちています。笑顔で手をふりたくなるような感覚なのです。これが天地真理の最大の魅力だろうと思います。
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天地真理と岩崎宏美のカバー比較ですが、同じ年ごろで同じ曲を歌っているのは先の3曲程度です。岩崎宏美は2003年から「Dear Friends」シリーズで昭和の名曲をいろいろ歌っています。ただ、すでに40代半ばからの歌唱で、20代の頃とは声質が違っています。

歌手は身体が資本の仕事、声帯は消耗品です。最高の声質で歌えるのは10代後半から、長く見積もっても30代前半までくらいです。J-POP歌手の代表曲の大半はその時期に発表されたもので、その後の活動はその余波に乗っているといえるでしょう。

岩崎宏美は天才ですが、それでも40代半ばともなれば、天衣無縫のボーカルとはいかず、それまでに培ったテクニックで聴かせる歌手へと変貌しています。天地真理が残しているのは20代の歌唱であり、そこに彼女の魅力が結晶しているのです。
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短日
天地真理と岩崎宏美がこれ以外に、同じ年ごろの声でカバーしているのは『あなた』です。天地真理は74年6月21日(当時22歳)リリースのアルバムから、岩崎宏美は79年10月14日(当時20歳)のライブ盤からです。

天地真理の歌声は歌い出しは優しく穏やか、そして終盤に向かって大きく広がりを持って歌いあげます。岩崎宏美はライブ盤らしく、彼女ならではの突き抜けるような高音部を聴かせ、あなたに訴えかけるような歌い方です。
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冬の雨
天地真理と岩崎宏美のカバー比較、2曲目は『さよならをするために』です。天地真理は72年9月21日(当時20歳)、岩崎宏美は81年11月5日(当時22歳)のものです。

いかがでしょう。J-POP史上最高レベルと誰もが認める岩崎宏美と聴き比べても、天地真理は何ら遜色がありません。柔らかく包み込むような暖かいボーカル、スケールの大きな心地よい声質に何度も聴きたくなります。
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冬迎える
最近、天地真理にはまってずっと聴いています。オリジナルももちろんですが、カバーの素晴らしさを特筆したいです。私は少し前まで岩崎宏美をよく聴いていました。岩崎宏美の歌唱力は誰もが認めるでしょう。

そこで、天地真理と岩崎宏美が同じ歌をカバーしているものがいくつかあったので、聴き比べていただけたら、と思います。まず、『サルビアの花』です。

天地真理は74年6月21日(当時22歳)リリースのアルバムから。岩崎宏美は78年10月18日(当時19歳)のライブ盤からです。岩崎宏美には81年11月5日(当時22歳)のアルバムのものもありますが、私はライブ盤の方が好きです。恐るべし岩崎宏美。
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冬隣
明日は立冬です。昨夜の嵐で少し気温が下がるかと思っていましたが、今日も昼間は汗ばむような気温でした。それでも山は紅葉が進み街路樹は色づき始めています。

最近、YouTubeで天地真理を発見しすっかりはまっています。私の場合YouTubeのサイドに表示される動画が、新しいアーティスト発見につながります。以前、音声合成AI岩崎宏美を楽しんでいましたが、チャンネルが消えてしまいました。

天地真理は1970年代前半に国民的ブームを起こした初代アイドルです。偶然聴いたのは『涙から明日へ』だったと思います。何と清冽で暖かい声でしょう。何度も聴きたくなります。原曲は堺正章が歌っています。どちらもいいです。
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