優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

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姫路城の敷地内、三の丸広場のすぐ隣に姫路市立動物園があります。昭和26年(1951)にサンフランシスコ講和条約調印を記念して開園しました。今なら世界遺産の敷地内に動物園なんて考えられない話ですが、時代です。

当時は動物園が最先端の子どもの娯楽だったでしょう。つい6年前まで焼夷弾が降り注いだ場所に作られることが「平和」の到来を象徴したと思います。私も子ども時代に行ったことがあり、そのころはゾウやキリンもいました。

世界遺産認定後もこの動物園が別の場所に移転しなかったことが、むしろ驚きですらあります。ここに歴史的な建造物を再建する案もあったのではないかと想像します。将来的にはそのように変わる可能性もあるでしょう。
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染井吉野
ソメイヨシノは幕末に現在の東京都豊島区駒込付近の染井村の植木職人によって「吉野桜」として売り出されました。しかし、奈良県吉野山の桜とは品種が異なることから「染井吉野」と命名されました。

ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種です。そのため挿し木や接ぎ木でしか増えず全国のソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持つクローンです。桜前線が可能なのもそれゆえですが、野生種に比べて病気に弱く寿命も短い。

ただ、葉が花の散った後から出る性質、比較的大きな花びらの花が枝に密集して咲くという性質から、お花見には最適の品種と言えます。明治以後全国に植えられて今では全国の桜の80%がソメイヨシノだそうです。
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枝垂桜
西の丸跡にはソメイヨシノが植えられてその間を散策できるようになっています。最近は別の種類も植えられ始めました。さまざまな園芸品種が作り出されているからでしょうし、開花時期がずれることでお花見シーズンも伸ばせます。

まだ若い八重のシダレザクラが花を咲かせており、多くの観光客がそこに立ち止まって記念撮影をしたり、花の写真を撮ったりしていました。
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春の空
お弁当を食べた後、西の丸跡をそぞろ歩きました。ソメイヨシノよりもやや先に開花する桜がほぼ満開になっていて、その下に20人ほどで花見の宴をはっている人たちの姿もありました。

庶民が花見を楽しむようになったのは江戸時代に入ってからです。有名な俳人たちも桜を詠んだ句を残しています。なかでも大島蓼太の「世の中は三日見ぬ間の桜かな」はある種の象徴的な色合いを持つ句として非常に有名です。
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花見
駅から大手前通りを真っ直ぐ歩いてくると大手門に着きます。その周囲には姫路城のお濠があります。21世紀に入って以降、お濠を手漕ぎの和船でひとめぐりできるようになっています。お濠の観光利用として良いことです。

私が子どもの頃といえば、どんと大天守があるばかりで周囲に観光施設は皆無でした。わずかな土産物店があるほかはバラックまがいの小屋が立ち並び、好古園もありませんでした。「城しかないなあ」という感じでした。

それが世界遺産認定後どんどん観光向けの整備が進み、今では城郭周囲の電柱は地中埋設され、大手前通りは両側が広く歩道として解放されました。姫路市内で最も変化した場所かもしれません。
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花見
お弁当はあらかじめ駅前の山陽百貨店で買って行きました。いろいろ入って華やかです。花見の起源は奈良時代だと言われています。貴族が梅を見ながら歌を詠んだのが始まりとか。梅は中国伝来の珍しい花でした。

その後、遣唐使が廃止されて国風文化の時代となり古来から日本にある桜へと花見の対象が移っていきました。桜を詠んだ和歌も多く、中でもこれらの和歌は今でも多くの人が知っているでしょう。

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし/在原業平(825-880)
ひさかたの光のどけき春の日に 静心なく花の散るらむ/紀友則(850-904)
願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃/西行(1118-1190)
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前日に強風が吹いたため、空が明るく澄んでいました。三の丸広場に入ると桜は三分咲きでした。満開のときを何度も見ましたが、三分咲きというのもまた違う魅力があります。

開きだした花びらの周囲にまだこれから開く蕾がいっぱい並んでいて、人間で言えば青春期の初々しさです。

吉田兼好は『徒然草』第137段で「花は盛りに、月は隈なきをのみ、みるものかは」と述べました。日本人の美意識はむしろ、盛りや頂点以外を愛でるところに本質があるように思います。
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三月の最終日、姫路城へお花見に行ってきました。一昨日あたりから花冷えで開花の速度がゆっくりになっていたようですが、昨日は風がおさまってお花見には絶好のお天気でした。

外国人観光客の多さに驚きます。それでも京都などよりはまだ少ないのかもしれません。桜のシーズンに好天のもと、白亜の城郭を背景にお花見を楽しめるなんて最高でしょう。

平日にもかかわらず大天守への登城口には午前中から長い列ができていました。これがゴールデンウィークともなればどうなるのか。その頃は城には近づきませんが。
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春雨
大阪方面までJRで行ってしまう時は先頭車両に乗ることが多いですが、三宮で阪急や阪神に乗り換えるときは最後尾に乗ります。乗り換えの連絡口が西にあるからです。

姫路駅ホームの西の端まで来るとホームの正面に姫路城が見えます。大手前通りを真っ直ぐ行った先にあるので、晴れた日ならくっきり見えますが、昨日は雨にかすんでいました。

近大病院へは三宮まではJR、三宮で阪神電車に乗り換えなんばまで、ここで南海電鉄に乗り換え泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅まで行きます。さらにここから南海バスに乗ります。往復4,000円以上の一日仕事です。
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冬の夜
『鏡花水月』の最後にはフルカラーの映像を背景に参加者自身が影絵を作り、会場スタッフに撮影してもらえるコーナーがありました。昨年は単純な影絵でしたが、今年は背景がカラーになってバージョンアップです。
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