優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:姫路城世界遺産登録30周年記念

天清和
平成中村座姫路城公演は姫路城三の丸広場に特設テントを組んで行われています。テントに入るときは靴を脱ぐことになっており、それぞれビニール袋に靴を下げて席へ向かいます。江戸時代からの芝居小屋の伝統を踏襲しているのでしょう。

幕は歌舞伎独特の三色幕で、始まると人の手で横に引かれていきます。それぞれの劇場によって三色が異なっており、平成中村座が用いている黒・白・柿色は初代中村勘三郎が将軍家から賜った配色とされ、これが三色幕の元祖です。

平成中村座は十八世中村勘三郎が旗揚げしたもので、基本的に江戸時代の芝居小屋を模した仮説劇場を設営して公演するのを特色としています。今回の三の丸広場特設テントでの上演も勘三郎の遺志を継いだ長男・勘九郎、次男・七之助らによっておこなわれています。
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五月
「播州皿屋敷」は怪談。姫路城に残るお菊井戸にまつわる伝説を劇化したものです。戦後の上演回数は少なく珍しい演目だということです。

悪事を企む細川家家老の浅山鉄山が、自身の横恋慕を受け入れないお菊に罪をきせて惨殺する場面の残酷な美しさが描かれます。お菊が「一枚、二枚…」と皿を数え幽霊となって現れるのは後半です。鉄山を中村橋之助、お菊を中村虎之介が演じました。

「鰯売戀曳網」は一転してコメディタッチの明るい作品で、鰯売りの猿源氏を中村勘九郎、猿源氏が憧れる傾城蛍火を中村七之助が演じました。子役も出ていました。主役を演じる歌舞伎俳優たちは、名のある家に生まれ幼いころから稽古を積んで所作を身に着け、舞台を務めるようになるのでしょう。
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