優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

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夏空
能勢電鉄川西能勢口駅からJR川西池田駅へ乗り換え連絡路を歩いていると、伊丹空港を飛び立った日本航空のエアバスA350-900が目の前に見えました。川西市は伊丹市と隣接し、伊丹空港は大阪府豊中市、同府池田市、兵庫県伊丹市にまたがっています。
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卯の花
三ツ矢サイダー発祥地を見た後は能勢電鉄妙見線の平野駅へ向かいました。途中、卯の花が咲いていました。卯の花はアジサイ科ウツギの花のことで、万葉集の昔から詩歌に多く詠まれ、初夏を象徴する花のひとつです。
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新緑
三ツ矢サイダーの発祥地は能勢電鉄の線路脇にあります。その昔、ここに「平野の湯」と呼ばれる炭酸泉がありましたが、江戸末期には廃れていました。明治14年(1881)宮内省の命を受けて炭酸泉を探していた英国人冶金学者W.ガランによって再発見されます。

明治17年(1884)から「平野水」として三菱商会が販売を開始しました。その後販売会社の変遷を経て、三ツ矢サイダーが商標登録されたのは大正5年(1916)です。現在はアサヒ飲料が製造・販売しています。

かつてはこの場所に炭酸水を製造する工場がありました。大正時代には東洋一の規模を誇り海外にも輸出されました。しかし、昭和29年(1954)西宮工場への移転に伴い炭酸飲料の製造は中止されました。跡地へは立ち入れず、金網越しに眺めるしかありませんでした。
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五月空
ハイキングの最後に三ツ矢サイダー発祥の地である平野鉱泉工場跡へ立ち寄ることにしました。多田神社から丘陵地の住宅街に出て能勢電鉄方面に向かい歩いて行きました。国道173号を渡るころには左手向こうに大きな三ツ矢サイダーの商標が見えてきます。

猪名川の支流である塩川を渡れば川沿いに大きなシナサワグルミが生えています。中国原産で明治初期に日本に入りました。生長が早いので街路樹や公園樹として各地に植えられています。果穂には翼があり、それが日の光を透かしてきれいでした。
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若葉
多田神社の創建は天禄元年(970)です。さまざまな伝説・伝承に彩られており、中でも有名なのが源満仲の長男・頼光による大江山鬼退治伝説です。当時丹波国大江山に鬼が出没し夜毎悪事を働くとの訴えが都に届きました。

頼光は家来であり四天王と呼ばれた渡辺綱・ト部季武・碓井貞光・坂田金時を引き連れて討伐に向かい、鬼の首領である酒呑童子を討ち取りました。坂田金時は金太郎のモデルといわれ、川西市のキャラクター「きんたくん」になっています。

拝殿と本殿は、徳川四代将軍家綱によって寛文7年(1667)に再建され、国の重要文化財に指定されています。拝殿は桁行7間、梁間3間、入母屋造、檜皮葺屋根の大規模な建物です。
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サイダー
境内入口に掲げられた提灯には清和源氏の紋所である笹竜胆とともに徳川家の三つ葉葵が描かれています。徳川家は清和源氏を祖とすると称し、篤く崇敬しました。清和源氏の一派であった足利将軍家にならい、徳川家も歴代将軍を分骨し、西日光と言われました。

境内に入った右手に休憩場所があり、昼食をそこでいただきました。三ツ矢サイダーのマークが大きく描かれた自動販売機が設置されています。三ツ矢サイダーは川西市にあった多田銀山の一部である平野鉱泉から出た炭酸水がルーツです。

三ツ矢サイダーの名前は源満仲に由来します。満仲が住吉神社のご神託を受けて三つ羽の矢を放ち、矢が落ちたところに居城を構えたという伝説に基づいており、それに関する説明が掲げられていました。「三ツ矢印」を商標登録したのは明治32年(1899)です。
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多田神社はもともと天禄元年(970)に源満仲が創建した多田院法華三昧寺という寺院でした。神仏分離にともなって多田神社となり、山門の仁王像は満願寺に、境内の鐘楼は奈良県・西大寺に移されています。

現在は清和源氏の始祖・源満仲から曾孫の源義家までの三代五人を祭神とする別表神社です。菅原道真(天神様)、平将門(神田明神)など人間が死後神様として祀られる例がここでも見られます。
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夏の川
御社橋のすぐ下の猪名川には白い波がたっていました。猪名川は北摂山系の大野山を源流として、大阪府と兵庫県の境を流れる一級河川です。御社橋のそばに昭和35年(1960)浸水時の水位との標識が立っていました。

猪名川は昭和の時代までは水害が頻発していました。堤防が弱かったうえ川筋が曲がりくねっていたことが原因でした。多田神社の前でも北から流れてきた川がここで鋭角に曲がり東へ流れを変えています。増水時は急激に水嵩があがることは容易に想像できます。
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薫風
湯山台から外れて里山の道を行きました。やがて猪名川に出会うと赤い欄干の御社橋、それを渡れば多田神社です。橋はかつて旧・有岡城(伊丹市)へ向かう多田街道と満願寺へ向かう満願寺道であり、現在は県道130号です。

多田神社の前でカーブして橋に入る道は、道幅のわりに車の往来が激しく、猪名川と神社敷地に挟まれて道幅を広げることが難しい印象です。橋は歴史ある大神社に向かうにふさわしい趣があります。
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薔薇
各ご家庭の庭ではヤマボウシが咲いていたり、きれいに剪定された庭木が並んでいたりしました。道路の幅は広く、歩いていると車が生活の主体になってから造成された新しい街だと実感します。バラを咲かせているお宅がありました。
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