優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:抗magニューロパチー

夜長
抗magニューロパチーによる疼痛を軽減するために瞑想を始めて三か月ほど経ちました。瞑想をしていると、頭の中にいろいろなことが湧いてきます。自分が何かを考えようと思っているのではなく、脳内に自然に湧いてくるのです。

脳は常にこういう状態で、アイドリング中の車みたいです。次から次へと「これはどう?こちらは?」という具合に私に提示してきます。私と脳は別の存在であるようです。

提示されているものを認識して流れ去っていくのを見ていればいい。提示されたものに飛びつくと、それに引きずられてしまいます。ただ見ているというのが簡単そうでなかなか難しいものです。
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秋草
私は抗magニューロパチー患者です。遺伝的疾患ではありませんが、世の中には珍しい疾患がたくさんあります。「なぜこれらの疾患は進化の過程で淘汰されなかったのか」とAIに尋ねてみると、「遺伝的多様性を確保するため」との答えでした。

同じ遺伝子の個体ばかりでは何かあった時に種が生き残れません。個人は種を維持するための将棋の駒のようなものです。一方、現代の遺伝学、進化学では「個人」はいろいろな遺伝子が同乗する乗り合いバスのようなものだとされています。

乗り物はさまざまなものがあった方がいい。そうすればより多くの場所まで遺伝子は到達できます。私たちの持つ遺伝子は「情報」であり、生命の写本のようなものです。個々の遺伝子は不死であり、組み合わされて新しい個体を形作るのです。
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末の秋
抗magニューロパチーの関連症状を調べるため、MRIを受けました。検査に痛みはないですし、放射線被爆もありません。狭い筒型の中にすっぽりと入り、20分ほど寝ていれば終了。ただ、物凄くうるさいので、イヤーパッドをつけます。
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桜紅葉
抗magニューロパチーによる疼痛を抑えるため、一番薬の量が多かったときはプレガバリン300mg、ツートラム50mgを朝夕服用していました。プレガバリンは処方できる限界量だったため、主治医から減量を勧められ、半分にしました。

最初はそれで耐えられるのかと訝しく思っていました。その量を飲んでも疼痛が完全になくなることはなかったからです。しかし、薬で疼痛を抑えきることは無理だと悟りました。そこで飲む時間を工夫したり瞑想を取り入れたりしました。

それでプレガバリンを半分にしてもそれほど変わらないという実感を得られました。先日の受診時にそのことを言うと、「ツートラムも半分にできるならしていい」とのこと。これもやってみようと思います。薬は少ないにこしたことはないからです。
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きんもくせい
夜に近所を散歩します。外に出かけなかった日はたとえ家の中で掃除や洗濯をしたところで歩数は限られています。そこで、夜の散歩で歩数を稼ぎます。

抗magニューロパチーは慢性の進行性の疾患で治療法はありません。しかし、足が痺れたり疼痛があったりしても動かさないでいると動けなくなってしまうので、積極的に動くことを心掛けています。

住宅地の中の道を歩いているとどこからかキンモクセイの香りがしました。花自体よりも香りで気づく花のひとつです。キンモクセイとセイタカアワダチソウが咲きだすと、秋も終盤だと感じます。
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抗magニューロパチーによる神経障害性疼痛に対して、プレガバリン300mgとツートラム50mgを毎日服用していますが、完全に治まることはありません。神経障害性疼痛は難治性の疼痛で、麻薬すら効きが悪いといわれています。

薬以外の鎮痛補助手段として少し前から瞑想をしています。「Japan healing 瞑想と癒し」というYouTubeサイトを見つけました。瞑想チャンネルの多くは誘導音声が入っているものですが、ここはそれが全くないのがいいです。

クリスタルボウル、シンギングボウル、おりん、鐘、自然の音などだけで構成されています。西洋音楽のような音階はなく、音の響きが人間の心身に響いて瞑想の効果をあげます。西洋と東洋の「音楽」の捉え方の違いに気づき興味深く感じました。
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宵闇
抗magニューロパチーでCIDPの患者会に入っています。疾病機序は異なりますが、症状が似ており、受診するのは脳神経内科で、特定疾患としてもCIDP関連疾患としてひとまとめにされています。

稀な疾患でありながら、同じ抗magニューロパチーの患者数人が顔をあわせても全員症状が違います。私は足趾の疼痛が強く、プレガバリン150mgとツートラム50mgを朝夕服用しています。薬だけに頼っていてはよくないと思い、瞑想を始めました。

これは効果がありました。疼痛が完全に治まることはありませんが、軽減するのに役立っています。朝晩10分程度から開始して、今は一回30分の瞑想をしています。作法にはこだわらず、椅子に座ってやっています。
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えのころ
YouTubeではさまざまな疾病の動画(患者側からも医師側からも)がアップされています。今や何か大きな人生の壁に当たれば誰もがYouTuberの時代です。ただ、当然ながら抗mag抗体陽性ニューロパチーの動画はありません。

罹患率が出ていないほど稀な疾患であり、罹患率100.3、死亡率61.3(人口10万対)の肺がんとは比較になりません。しかし、がんに関する動画を見ているうちに、がん治療の成否を決めるのはステージであるとともに、筋力、体力であるとあらためて知りました。

そこでできるだけ歩こうと考えました。末梢神経障害があるため足裏が痺れ、何もなかったころに比べ歩きにくいのは確かですが、歩かなければさらに歩きにくさが増します。歩かなければ歩けなくなる、そう痛感したのです。
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月夜
明日の夜が名月です。すでに月は十分な明るさがあり、夜空を横切る飛行機雲を照らしていました。今夜も明日の夜も晴天のようですから、待宵、名月ともに楽しめそうです。

三連休の真ん中の昨日は患者会のZoomミーティングがありました。普段はLINEのグループで話していますが、三か月に一度こうして顔を見て話せるのは楽しみです。CIDP患者会に属している抗magニューロパチー患者数人で集まりました。

同じ診断が出ているとはいえ、それぞれみんな症状が異なります。典型的な症状というものが乏しく、これが診断にたどり着くのを難しくしています。また、診断できるような病院が無ければ、別の病名のまま様子見という人も多いようです。
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仲秋
今日は9月9日。昨年の今頃は近大病院に検査入院していました。この日の夕食に「重陽」にちなんだメニューが出て、管理栄養士の方からの手紙も添えられていました。

重陽とは陰暦9月9日のことで、菊の節句ともいいます。新暦になってから本来の季節感とは大きくずれました。元旦、雛祭り、七夕しかりです。今ではほぼすべて新暦でおこなわれ、9月9日は忘れ去られていると言っていいでしょう。

それでもその古来の行事にちなんだ食事で病院食に変化を与え、入院患者たちの気持ちを和ませようとされているスタッフの方々の心遣いにはうれしくなりました。
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