優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:抗magニューロパチー

初音
ウグイスが囀りを開始しました。春も半ばです。快晴で朝の気温はまだ2℃などという寒さですが春は確実に進んでいます。

抗magニューロパチーに治療法はありません。リツキシマブなどの名前があがりますが、血液の悪性腫瘍に用いられる薬で免疫機能を阻害するため大きな副作用を伴います。さらに効果は限定的で多くが半年もすれば再発します。

そのため保険適応が認められておらず、使うには血液疾患を発症していることを見越して血液内科で処方を受けます。そこまでやって得られるものは何か?誰もがいつかは老いて死んでいくわけで、生きていくことの質を優先した方がいいです。
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春の宵
先日受診した近大病院では、昨年11月に行った血液検査の結果、λ型M蛋白が検出されたと言われました。2023年秋の入院での腓腹神経生検で抗mag抗体が検出され、抗mag抗体陽性ニューロパチーと診断されました。

しかし、免疫グロブリンがすべて正常値で「変わった症例」でした。λ型M蛋白が陽性となったことで診断との間に矛盾がなくなり、診断を裏付けることになりました。免疫グロブリンは正常値のままです。

これで何かが変わるというわけではありません。緩徐進行型の末梢神経障害であるというのは同じです。なるようにしかならないので、やれることをやって楽しめることは楽しめるうちに楽しんでおく、そういうことです。
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寒風
寒い日が続いています。外に出るのも億劫になりがちですが、それでは運動量が足りなくなります。座りっぱなしを避けるために一定時間が経過したら、特に用が無くても部屋を出て家の周りを一回りするなどの工夫をしています。

抗magニューロパチーのリハビリのためです。治療薬はありませんし足の感覚異常があって、ともすれば動きたくないと思ってしまいがちです。しかし、それではいけません。動かなければ動きが悪くなり、ますます動きたくなくなります。

好き嫌いで運動するのではなく不可欠だから運動するのです。じっとしていたら退化速度に拍車がかかります。痺れていようが違和感があろうが、動かなければなりません。
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寒中
新年になってからの体調不良はようやくほぼ落ち着きました。上気道感染だったのは間違いないですが、インフルエンザなのかコロナなのか単なる風邪だったのかはわかりません。しばらくは無理をせず過ごそうと思っています。

かといってじっとしているばかりではダメで、動かないと足の動きが悪くなります。私には抗magニューロパチーという特定疾患の持病があります。激烈に悪化はしませんが、治療方法もありません。慢性的にじわじわ進行します。

それゆえ、衰えを加速させないように日常生活で無理のない程度に身体を動かすことが大事です。治療法が無いといえば暗いイメージですが、結局人はみな老化という不治の病にかかっているのです。
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着膨れ
抗magニューロパチーで足裏の感覚が鈍く、それを補うために平均台運動をやっています。最近では小学校でも校庭に平均台がありません。平均台はバランス感覚、注意力、集中力、ボディイメージを養うことができます。足裏の感覚にも敏感になります。

近所の小売店の駐車場周囲のブロックがちょうど幅10cmほどで、それを平均台に見立ててその上を歩いています。高すぎず低すぎず、片道150歩くらいのそれを5回ほど往復します。平地ならなんということもない距離ですが後半になると汗ばんできます。

バランスをとろうと全身を使っているからでしょう。集中力も使っています。ターンするときに止まると、地面が少し動いて見えるほどです。他にも似たような塀を見つけては歩いてみますが、ここのものが最も適しています。
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疼痛には侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛があります。前者は疼痛として一般的にイメージされるもので、怪我をしたときなどに起きるものです。疼痛によって異常が起きたことを知り、手当ができます。身体を守るための疼痛本来の役割はこちらです。

一方、神経障害性疼痛は疼痛を伝達する神経そのものが傷ついて異常な信号を発し続けるものです。意味のない痛みであり、抗magニューロパチーによって私が感じている痛みはこちらです。程度の差はあれ、意識がある間はずっと痛みがあり難治性です。

ヤマイダレは病、痛、疾、疫、疲などと望ましくない状態を表す漢字に使われています。疼痛は不快な感覚であり、病院受診の最大の動機になります。ただ、複雑な感覚でもあり、私の場合も何か別のことに集中していればその間は疼痛が軽減されています。
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十二月
俳句にはいろいろな植物が登場しますが、自分で育てたことはありません。ご近所の園芸好きの方の庭を楽しませていただいています。

電子ピアノにはまった、というよりバッハのインヴェンションにはまったというべきでしょう。抗magニューロパチーによる足の疼痛を忘れる手段として電子ピアノを弾き始めました。インベンションの集中力を要するところがとてもいいのです。

何かに集中できていればそれは多分電子ピアノでなくてもいい。絵を描くとか、写経をするとかそういうものでもいいのでしょうが、作品的なものが残るとそれがゴミになります。その点、楽器演奏は消えてしまうのでいいです。
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冬菊
冬半ばながら、まだ道の辺に小菊が咲いています。そのかたわらを髪をなびかせながら制服姿の少女が歩いて行きました。こういうとき、ぱっと句ができあがります。

抗magニューロパチーに関して、この疾病の典型的なものでは血液中のIgMが増加します。IgMは免疫グロブリンの一種で、細菌感染したとき最初に増加します。疾病のメカニズムそのものはまだよくわかっておらず、治療法もありません。

免疫グロブリンには他にIgA、IgGといったものもあります。私はこれらすべてが正常値で非典型例です。主治医からも「こういう例は知らない」と言われました。典型的な例でも罹患率は50万人にひとりですから、さらに稀でしょう。
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冬菊
この前の日曜日、CIDP患者会のZoomミーティングがありました。CIDPは難病の中でも患者数が少ない方です。私が患っている抗magニューロパチーはさらに患者数が少なく50万人にひとり程度の罹患率です。

そのため類似疾患のCIDPの中に入れていただいています。初期症状がCIDPと似ており、それと誤診されることが多いからです。難病の疾患分類でもCIDPの変種として登録します。この日は私も含めて6人で話をしました。

全国的に見れば350人程度はこの患者がいるようですが、患者会に参加している人はその数%にも満たない現状です。希少な疾患なので患者会は同じ疾患の人の生の話を聞くことができ、生の情報を仕入れられる貴重な機会です。
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日短か
抗magニューロパチーと診断されてほぼ1年です。一昨日は診察の前に採血があり、肝機能が軽度あがっていました。「何か運動をしていますか?」ときかれ、児童公園での運動が血液検査に反映されていると悟りました。

運動、特に最近やっているような雲梯やプッシュアップ、ジャングルジムの上り下りといった運動は軽い筋トレでもあり、筋肉が壊れて数値を引き上げているのです。この疾病にこれといった治療法は無いので、自分でできることをしていくしかありません。

運動も漫然と歩くのではなく、低いコンクリートの柵などを平均台代わりにして歩く運動を取り入れています。15cm前後の幅の上を歩くのですが、これが一種のマインドフルネスのような効果もあると気づきました。まちなか平均台です。
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