優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:椋

十一月
水彩画を堪能した後、店を出て駐車場所まで細い道をゆっくり歩いて戻りました。遠くから集落の中に佐伯神社の二本の椋が聳えているのが見えてきます。樹齢はどれくらいなのか。数百年はたっているでしょう。

周辺に住んでいる人の何代も前の人が生まれ、生きて死んでいくのをこれらの木は見てきたのです。樹木の生命の長さは人間をはるかに超えています。

そして、この椋が残されたのは、佐伯神社という空間があったからこそです。神の宿る木、神の依代として崇められてきたのでしょう。
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初冬
佐伯神社の説明板には「祭神は阿良津命で当地の始祖である稲背入彦命の曾孫にあたる」とあります。稲背入彦命は景行天皇の皇子で、その子である御諸別命が成務天皇のときに播磨国に任ぜられ、氏名を針間別としました。

その子である阿良津命(伊許自別命とも)は、応神天皇の播磨国行幸時に同国佐伯部の管掌と「針間別佐伯直」への改姓を賜り、以後豪族としてこの地を治めました。

景行天皇、成務天皇、応神天皇はいずれも伝承の域を出ず、実在したとしたら4世紀半ばから後半にかけてと言われています。境内には姫路市の保存樹(指定番号4-2・4-3)の椋の巨木が2本あり、狭い境内の空を覆うように立っています。
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