優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:湯元吉祥

元日
11:01発の羽後東線に乗るために宿から送ってもらいました。東北新幹線に接続する古川駅までは45分の乗車時間です。鳴子温泉駅の周囲には積雪がありましたが、一駅ごとに雪の量は減り、古川駅ではすっかり雪は消えていました。

帰りは飛行機なので、東北新幹線は仙台まで。そこから仙台空港まで仙台空港アクセス線に乗りました。テレビを持っていない私が、東日本大震災が本当に物凄い大災害なのだと知ったのは翌朝、仙台空港に押し寄せる津波の映像を見た時でした。
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注連飾
年越しの間に雪が10cmほど積もっていました。窓から下の駐車場を見ると雪かきをしている宿の人の姿が見えました。朝、露天風呂に入っていると係員が湯のチェックに来られました。「雪景色が素敵ですね」と言うと、「そうですねぇ」と苦笑いでした。

雪の無い地方から来るとエキゾチックな雪景色ですが、そこで暮らす人々には白い魔物、厄介ものでしょう。機械的な除雪が可能になった現代でも細かな部分は人力に頼らざるをえません。冬の重労働です。
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節料理
朝食でも夕食時と変わらずすべてのドリンク類がフリーでした。アルコール類にはビール、日本酒はもちろん、ワイン、ウォッカ、焼酎、梅酒などがずらりと並び、東北地方の地酒類も数種類が置かれていて、お酒好きの方にはうれしいもてなしでしょう。

大晦日の受付を待つロビーでは温州みかんがフリーで提供されていました。しっかり実のつまった上級品で、東北でみかんとは、と思い「産地はどこですか」とたずねると、和歌山県の有田みかんとのことでした。
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伊達巻
朝食のバイキングにはおせち料理も並んでいました。栗きんとんが甘くてクリーミーでとても美味しかったです。伊達巻は魚のすり身を使った卵料理で、おせち料理の定番の一品です。伊達政宗が好んだことから伊達巻と呼ばれるようになったとか。

お雑煮が無かったのが意外でした。見つけられなかっただけかもしれませんが。代わりにずんだ餅を食べました。すりつぶした枝豆を餡に用いた宮城県の郷土餅菓子で、土産物売場にはどこでも関連商品が並んでいました。
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鏡餅
年末年始を温泉で過ごすときはできる限り宿でゆっくりします。観光施設は営業していませんし、宿自身が迎春の装いで華やかだからです。

鳴子温泉は芭蕉の『おくのほそ道』に登場します。芭蕉が曾良とともにここを訪れたのは、現在の暦では元禄2年(1689)7月。仙台藩と山形藩の領国境ということから、彼らは「尿前の関」で厳しい取締りに会いました。

鳴子の湯にゆっくり浸かる余裕もなく、難所の中山峠を越えてその日のうちに出羽の堺田に到着しています。『おくのほそ道』のこの部分の記述は宿の壁に書として飾られていました。芭蕉たちが歩いた道は遊歩道として整備されています。
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初日
朝は雪が降っていたので初日の出は拝めませんでした。しだいに雪がやみ朝食に向かう頃には日差しが出始めました。昨夜は午後7時半の夕食でした。午後5時半の夕食はすでに先着の人たちで埋まっていたからです。

先着の人たちの夕食時間帯に入浴でき、おかげでほとんど人のいない大浴場をゆったり楽しめました。朝も早い時間帯なら午前7時からの朝食でしたが、午前8時半にしたことでこちらもよく空いた朝風呂でゆっくりできました。

外気温は0℃ほどでした。露天風呂までの廊下が寒かったですが、それが逆にお湯の暖かさを高めてくれました。除夜の雪、元朝の雪、どちらもここならではの雪景色の露天風呂を満喫できました。
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新年
こけしはろくろ挽きの木製人形です。鳴子のこけしはその代表的なもののひとつで、こけしと聞いてまずイメージするのはこの鳴子系こけしではないでしょうか。江戸時代後期の文化文政時代に湯治客に土産物として売られたのが始まりです。

子どもの玩具としての最盛期は明治時代までで、それ以後は大人の収集家が現れ命脈を保ちました。材料はミズキなどの自然木で、十分に乾燥させた後、頭部と胴体をろくろ挽きし、ろくろを回しながら胴体へ頭を一気にはめ込みます。

「首入れ」というこの独特の技法のため、鳴子のこけしは首を回すとキュッキュッと鳴ります。部屋の入口に置かれていたこのこけしもやってみるとキュッキュッと音がしました。
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去年今年
2024年の新年は伊豆の八幡野温泉郷で迎えました。2024年の最後の湯と2025年の最初の湯は鳴子温泉の湯に入りました。日本には27,000の温泉源があります。太平洋プレートが沈み込む大陸棚の端に位置し、全国に火山帯が分布するが故の恩恵です。

温泉の泉質の表記には単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉、含よう素泉の10種類があります。湯元吉祥の泉質は硫黄泉、低張性アルカリ性高温泉(ph8.6)の「美肌の湯」とされています。
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年の夜
夕方から降り始めた雪は夜に入っても降り続きました。東北地方の日本海側は世界でも屈指の豪雪地帯です。鳴子温泉は太平洋側にあたるものの、栗駒国定公園内という山間部にあり、それなりに降雪量は多いようです。

歴史は古く、承和4年(837)の『日本後紀』に火山活動と温泉湧出の記録があります。江戸時代の文化文政時代には仙台領内で最も繁盛した湯治場となり、近現代に入っても多くの著名人が訪れています。

ホテルの部屋は5階にあり、窓から江合川の向こうの雪化粧した山々が見渡せました。
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年越蕎麦
旧年最後の入浴をすませ、大晦日の特別料理をいただきました。夕食時にはアルコール類を含むすべてのドリンクがフリーで楽しめるようにセッティングされていて驚きました。こういうときはアルコール類こそ儲けになると思うのに、太っ腹。

22時から23時まで年越蕎麦のサービスがありました。夕食がまだお腹に残っていましたが、こればかりは時期のものですので、いただくことにしました。美味しかったです。
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