優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

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秋祭
地曳網はセンタースタッフがあらかじめ網をセットしてくださっていたものを曳きました。子どもたちは軍手をはいて左右に分かれロープを握って曳いていきます。そのうち誰かがヨーイヤサーという播州の秋祭りの掛け声をかけ始めました。

必ず祭り大好きな子がいるものです。その掛け声が全体に広がってヨーイヤサー、ヨーイヤサーで網が曳かれてきました。こうして二度地曳網漁を体験しました。網に入っていた魚は小さく大漁とはいきませんでしたが、クロダイ、カワハギなどがいました。

これらの魚たちは夕食のテーブルに唐揚げになって登場しました。スタッフには二名の教育学部の学生さんがキャンプリーダーとして参加しています。彼らはいくつもの施設を体験していて、ここの食事は格別に美味しいと教えてくれました。その通りでした。
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秋祭
次に高砂神社へ向かいました。謡曲『高砂』発祥の地です。1700年前、神功皇后が三韓征伐から帰国したときに鹿子水門に停泊し、国家鎮護のために大己貴命を祀ったのが神社の始まりとされています。

境内には雌雄一体の相生の松が生えています。尉と姥に姿を変えた伊弉尊と伊弉冉尊が現れ「ここに夫婦の道を示さん」と説いたことから霊松とされ、この松の前で結婚式をあげるようになりました。以来、縁結びと夫婦和合の象徴として信仰を集めています。

10月10日、11日が秋祭りで、境内には幟が立ち並び、出店の準備も整っています。各町の札がかかげられ、世話役らしい人たちが拝殿の前で相談をしていました。

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秋祭
高砂・姫路など播磨の沿岸部はアナゴの産地です。松宗蔵から西に向きを変えて通りを歩いて行くと焼きアナゴを売っている店に出会いました。下村商店という明治36年(1904)創業の老舗です。秋祭を明日に控え、たくさんの焼きアナゴが並んでいました。
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秋祭
夜になると遠くから太鼓の音が聞こえてきます。秋祭りに備えて公民館で子どもたちが太鼓の練習をしているのだと思います。祭りの宵宮と祭り当日には屋台に載って地区内を廻り、その間中太鼓を打ち鳴らします。子どもにとっては晴れの舞台です。
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秋祭
秋祭が近づくと地区の辻々に氏神の紋と名前を染め抜いた幟が立ちます。地区の入口に御神燈を飾るところもあります。地区にはそれぞれ屋台があります。姫路周辺は神輿型屋台が多く、秋祭には普段はそれらを納めている屋台蔵から屋台を出します。

そしてその後地区を練り歩き、近隣の地区が集合して屋台練りをします。「ヨーイヤサー」という掛け声がこの辺りでは一般的で、「わっしょい」とは言いません。
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秋祭
姫路を中心とした兵庫県南西部は秋祭りが盛んな地域であり、Wikipediaにも「播州の秋祭り」として掲載されています。この時期になると各地の道路沿いにシデ飾りが並ぶようになります。シデ飾りとは竹の先にカラフルな色のポリエチレン素材を折り込んだものです。

昔は和紙や布を使っていましたが、このポリエチレンなら雨にあたってもいいですし、色褪せもせず、最近はどこでもこれを見かけます。これが並び始めると辻にはそれぞれの氏神の幟が立ち、秋祭りが近づいたことを実感します。

地区によってシデの色は決まっており、祭衣装にもその色を取り入れ、鉢巻も同じ色で統一しています。担がれた屋台の周りを、このシデ飾りがついた棒が取り囲んで勢いをつける役割もします。
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秋祭
姫路周辺の播州地方は秋祭りの盛んな地域です。体育の日をからめた三連休に実施される地域が多いですが、昔ながらの神社の祭礼日を遵守し、祝祭日には関係なく実施しているところも多いです。それだけ伝統があり、祭を支える地域の気持ちも強く、小中学校が休校日になる地区もあります。
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