優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

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秋晴
行きは播磨灘の快晴のなか爽快な船の旅でしたが、帰りは雨が船窓を叩く状態になりました。39℃の発熱の女の子は横たわって辛そうでした。ただ、子どもは一気に悪くなるものの、回復するのもまた一気です。

初日の夜に咳が止まらなくなった男の子は本土に戻って治療を受け、翌日の昼には自然学校へ帰ってきました。「高齢者なら考えられないね」と別の救護スタッフと話しました。

体調の悪い子は姫路港まで保護者が迎えに来られ、他の子はバスでそれぞれの家の近くまで送ります。保護者代表が各場所で数人ずつ待っていてくださいました。それにしても、小学校の先生は、やりがいはあるとは思いますが大変な仕事です。
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秋の驟雨
昼過ぎから天気が崩れるという予報でした。早目に出発したのですが、それが逆に仇になり、峠を登っている途中から大粒の雨が降りだしました。私はあらかじめレインウェアを着て両手にストックを持っていました。

しかし、きちんとしたレインウェアの子はむしろ少なく、ビニールの適当なカッパや、中には傘をさしている子までいました。峠越えに難儀している子には、大きなダッフルバッグの持ち手の部分を使って背中に背負うよう勧めました。

土砂降りになり、船着き場のわずかな屋根の下に70人が身を寄せ合う格好になりました。ただ、これも子どもたちにとっては忘れられない経験になるでしょう。心地よいことよりも、とんでもないことの方がいい思い出になります。
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秋の昼
各自荷物を持ち、環境学習センターで各班ごとの「いえしま調査隊」の調査活動中間報告会がおこなわれました。スタッフたちはその前に全体の荷物と各自の大きな荷物を管理棟前まで持っていき、船着き場へ運んでもらう手筈を整えました。

発熱したのはこの日までは男子ばかりだったのですが、帰る直前から女子がひとりインフルエンザと思われる発熱。ロッジを片づけたときからぼんやりしていたので様子がおかしいと思っていました。

各班の発表は想像以上にきちんとしたもので驚きました。その後、退所式がありスタッフも子どもたちからお礼状をいただきました。キャンプリーダーのふたりは昼食時に子どもたちの調査ノートにサインをしていました。
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秋の朝
西島を去る日の朝は荷物をまとめ自分たちが生活したロッジの清掃をしました。自然学校の後半になってから次々と病人が出て大変でした。もうひとりの救護スタッフは去年まで病棟で働いていたばりばりの看護師でしたから助かりました。

発熱の子は定期船で家に返すのが基本です。島には医療機関がないからです。島を後にした全員が男子でした。小学5年生にとって5日間も親と離れて過ごすのは初めてでしょう。男子の方が心理的にも肉体的にも変化に弱い印象です。

ロッジを見回って荷物の片づけと部屋の清掃について点検しました。なかなか荷物を片づけられない子がいる一方で、てきぱき整理できる子もいます。いろいろいてどたばたしましたが、それでもなんとか時間内に荷物整理、清掃が終わりました。
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秋深し
自然学校最後の夜はボンファイヤーです。三日月が沈みあたりが暗闇に包まれる頃、芝生広場の一画にある焚火場で始まりました。みんなで呼んだ火の神が組み上げられた木に点火します。そこからの進行はキャンプリーダーの二人が担いました。

彼女たちはゲームなどを盛り込みながら子どもたちを盛り上げていきます。最後はプラスチックカップに入れたキャンドルを歩道の両端に並べるキャンドルサービスをおこなう予定で、私たちもチャッカマンを手に待ち構えていました。

ところが、その夜は風が強く火が消えてしまうことがわかり、中止せざるをえませんでした。それでも子どもたちはとても感動し、大勢が泣いていました。ちょっとやんちゃ気味の子の方がおいおい泣いているのが印象に残りました。
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木の実落つ
西島には猪が生息しています。本州側から海を渡ってやってきたものと思われます。姫路には妻鹿という地名があり、家島諸島には男鹿島という島があり、双方を鹿が行き来したという伝説があります。猪とて同じくらい泳げるでしょう。

ロッジは山の斜面に立っており、「猪を見た」と言う子が何人もいました。いたずら好きの男の子が、夜に猪のたてる音を「クマが出た」と脅かして、女の子たちが泣き出す騒ぎもありました。

クラフト体験をしている野外炊飯棟のすぐそばの木の下まで猪の子が来ているのを私も見ました。子どもは可愛らしいですが、大人の雄は鋭い牙を持っており遭遇すると危険な場合もあります。
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秋浜
午後はクラフト体験です。木の板に貝殻やシーグラスを貼ってオリジナルのフォトフレームを作ります。材料はこれまでの活動の合間に少しずつ集めていました。大勢で集めるといろいろ集まるものです。サザエの貝殻まるごとを拾ってきた子もいました。

貝殻のバランスを考え、シーグラスの青や緑をその間に配して、売り物になるのではと思うほど見事な作品を作り上げる子もいます。みんな熱中して作品を作り上げました。

接着剤が乾くまで使っていないテーブルに並べ、終わりにそれぞれビニール袋に入れて持ち帰ります。終わった班からスライドの発表準備にとりかかり、最後は先生に見てもらって明日の中間発表に備えました。
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秋の昼
それぞれの班で手分けして野菜を切り、米を洗い、野菜を煮て、米を炊き、時間前にはお昼ご飯のカレーができあがりました。やはり大勢で作ったカレーは美味しいです。こうした場合の定番飯になるのもわかります。

食べた後は片づけです。鍋のまわりには煤がついており、これらをきれいに洗って調理道具をぴかぴかにする必要があります。センタースタッフの厳しいチェックが入るのでここは真剣です。

何度もやり直しを命じられている班もありました。大勢の子どもたちに繰り返し使ってもらうにはこうしたチェックが欠かせないのでしょう。自分たちが気持ちよく使えたのは前のグループがきれいにしてくれたおかげです。それを次に送らなければいけません。
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秋うらら
午前9時から野外炊飯。班でカレーを作ります。人数分の材料が配られ、包丁はスタッフが手渡ししていきます。かまどでの火起こし担当ヘルプは男性スタッフ、材料の切り分けヘルプは女性スタッフがおこないました。

テーブルに新聞紙を広げます。汚さないためと野菜くずをその中央に集め新聞紙でくるんで捨てるためです。野外炊飯場のすぐ隣にはごみステーションがあり、ごみは燃えないもの、プラスチック、生ごみに分別され、生ごみはたい肥などに利用されます。

野菜の切り方をレクチャーし、子どもたちはすぐにそれを覚えて上手に切り分けていきました。包丁とまな板はセットで洗いに行くときには「通りまーす」と言うことを徹底しました。刃物と火の取り扱いには強く注意を促したためか、ケガ人は出ませんでした。
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秋海
午前7時から芝生広場に集合して一日の活動が始まります。「ひょっこりひょうたん島体操」の後、浜辺に出てそこの階段を利用して、音楽会のための練習が行われました。海に向かって海をテーマにした歌を歌います。

合唱は二部でアルトとソプラノです。そうか、まだテノールやバスはないのだ、と当たり前のことに今さらながらに驚きました。小学5年生だと女子の方が発育がよく、すでに先生たちの身長に近いくらいに背が伸びている子もいます。

子どもたちが並んで海に向かって合唱を始めると、少年少女合唱団だなあとその歌声を心地よく感じました。自然学校の後は音楽会だそうです。先生たちも次々指導せねばならず、大変なことだろうと想像します。
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