優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:赤星山

暮早し
稜線の下山分岐からも赤テープを確認しながら下りました。上部は植林帯です。植林帯は下草が乏しいため、道がわかりにくくなるのです。北斜面に入ることもあって薄暗く、急に夕方になったような感覚になりました。

『愛媛県の山』によれば、下山分岐まで頂上から1時間、豊受山分岐まで、2時間半ほど、下山の全行程に3時間近くかかります。稜線で迷って引き返したりしたため、3時を過ぎた時点で豊受山分岐に達していませんでした。道を間違えると暗くなってしまう恐れがあるため、急ぎながらも慎重に確認しつつ下りていきました。

豊受山分岐の道標に到達した後は道もはっきりしていて余裕を持って下れました。渓流にかかる橋が滑りやすく、ひやっとしましたが、無事午後5時前に下山できました。昼食の休み時間をのぞくと8時間半ほど行動し続けていたことになります。P_20181125_161612

日短か
赤星山から豊受山への稜線にところどころ標識が立っていましたが、途中から道がわかりにくくなりました。紙の地図もあり、スマホアプリの地図も持っていました。スマホアプリに途中から道が違っているように表示され、引き返した場面がありました。

道があやふやになるのは、GPSの精度が落ちているからでした。『愛媛県の山』には「稜線分岐の標識あり」と書かれています。それらしい道を行けば分岐場所にたどりつくはずと考え、スマホに頼り過ぎず、赤テープも確認しつつ歩いていくことにしました。紙の地図によれば、分岐場所はかなり豊受山に近づいたところです。

赤テープは幹や枝に赤いビニールテープが巻きつけてあり、それがルートを示しているものです。目立つ色のはずですが、自然の中で剥げ、周囲に溶け込んでいたりして、見逃してしまいそうになります。色も赤とは限らず、黄色や白テープの場合もありました。

とにかく人工物を見逃さないように、「はい、あそこに赤テープ」などと声を出して確認しながらコースをたどりました。下山分岐点の標識に出会ったときは、ほっとしました。P_20181125_144523

短日
頂上に着いたときは、すでに正午を過ぎていました。昼食はいつものようにラーメンを作ってみんなで食べましたが、早めに切り上げて下山にかかりました。

下山は登ってきたルートではなく、豊受山方面へ向かって稜線を東へ歩き、途中から下るというものです。「隆ちゃん新道」と呼ばれるコースで、機滝の手前で登ってきたコースに合流します。登ってくるときに分岐の標識がありました。P_20181125_134119

冬霞
赤星山の頂からは北側の海に面した展望が開けています。この眺めは独特です。展望のよい山というのはよくあり、それ自体はそれほど珍しいことではありません。ここの特徴は海岸から6km程度のところに標高1,453mの山頂があるということです。

急激に立ち上がった山から燧灘を望む感覚は、他の山では味わえないもので、滝と急斜面と山頂の眺めのコントラストは赤星山ならではの魅力です。見通しがよければ瀬戸大橋やしまなみ海道も望めるようですが、この日はお天気がよすぎて霞がかかっていました。P_20181125_123549
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冬うらら
斜面が途切れて突然広々とした頂に出ました。中央は芝に覆われ、西には赤石山系の山々が連なっています。北側は燧灘に面しています。海岸線から山頂まで6kmほどしか離れておらず、振り向くと四国中央市の市街地と燧灘が眼下に広がっていました。滝が連続する急斜面を登ってきたあとの素晴らしい解放感でした。P_20181125_123559
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千丈滝の右側を登って本道に戻り、そこからさらに谷をつめていきます。傾斜は急で道は曲がりくねり、登り始めてからの時間も気になります。12時には登頂していたかったのですが、それが難しくなってきました。

最後の水場を離れる前あたりで北の斜面にも日が差してきました。傾斜が再びゆるやかになったころ、下山してきた先の男性二人とすれ違いました。「もうすぐですよ。頂上は暖かくて展望抜群です」との声に励まされて登りました。
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冬の晴
急斜面で足元が狭く滑りやすいところにはロープや鎖がつけられています。七本目の橋を渡ったあとに東の豊受山との分岐があります。その次は千丈滝との分岐で、本道を離れて千丈滝方面へ向かいました。紅葉が残っていたのは麓だけで、このあたりまでくるとすっかり冬の景色です。名前がついている滝は千丈滝が最後でした。P_20181125_092008
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<千丈滝>

初冬
赤星山の野田ルートは北斜面の渓谷を遡っていくため、晴天でもほとんど陽があたりません。渓流のわきにはさまざまな苔が生えています。奇岩と滝と渓流と苔を眺めつつ急な斜面を登って行きました。それぞれの滝は見事で、先日訪れた赤目四十八滝にも負けてはいません。あまり知られていないからなのか、この日も登山者は私たちと先の男性二人連れだけでした。P_20181125_090643
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冬の山
赤星山には、珍しい滝があります。滝といっていいのかどうかすらわかりませんが、苔むした岩の表面を水が伝って落ちてくるのです。水量が少ないため、水は苔の上を転がるように流れ、独特の表情をしています。玉簾とのネーミングがぴったりです。

玉簾を眺めているときに後から登って来られた男性の二人連れに会いました。「姫路のナンバーだから珍しいなあと言っていたんですよ」と言われる松山市の方たちでした。ひとりは本格的な一眼レフを持ち、写真目的の登山のようでした。P_20181125_090554
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初冬
最初に出会ったのは機滝です。冬のため、水量は減っていますが、それでも落差が大きく迫力があります。このあと、紅葉滝、布引滝と続きます。それぞれの滝の名前を記した標識が立っていました。布引滝はナメ滝で、大地川渓谷では珍しいタイプです。布引滝までは傾斜が急ですが、この後は少しなだらかになりました。P_20181125_084319
<機滝>

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<紅葉滝>

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<布引滝>

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