優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:飛騨高山

四方の春
高山本線を走る特急ひだはHC85系、ディーゼルエンジンで発電した電力と蓄電池を併用する「Hybrid Car(ハイブリッドカー)」方式を採用した次世代特急車両です。

従来の85系気動車を置き換え、エンジンの削減による環境負荷低減(CO2約3割減)と、ハイブリッド車両として国内初の最高速度120km/h営業運転を実現しています。座席は東海道新幹線よりもさらにゆったりとした配置でした。
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餅花
高山で宿泊したのは「本陣平野屋」でした。出発の準備をして荷物を預けて町の散策をしました。こじんまりとしたお宿で落ち着いて新年を迎えることができました。

ロビーには餅花をはじめ迎春の飾り物がされ、大晦日もこれらに迎えられて宿に入りました。今日は再びそれらに送られて宿を出ます。元日の宿泊客が少しずつ到着していました。
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元日
高山陣屋の前に山岡鉄舟(1836-1888)像がありました。剣・禅・書の達人であり、江戸無血開城の立役者のひとりである鉄舟は、高山と所縁が深い人物です。

弘化2年(1845)、高山郡代となった父・小野浅右衛門高福、母・磯について彼は高山陣屋へ入りました。嘉永5年(1852)父の死去にともない江戸に戻るまで高山で暮らしており、彼の人間形成は飛騨の風土の中で培われたものと考えられます。

江戸に戻った後は勝海舟や義兄の高橋泥舟らとともに活躍し「幕末の三舟」と呼ばれました。徳川慶喜の使者として駿府に赴き、西郷隆盛と会って江戸無血開城の交渉をまとめました。像の足元には「青雲」との書がありました。
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門松
高山は金森氏が出羽国上ノ山に転封された元禄5年(1692)から天領になりました。元禄時代は天領拡大の時代でした。金森氏に失政があったわけではなく、飛騨の持つ価値から幕府がここを所有したいと考えたのです。

飛騨には全国有数の良質な木材(飛騨材)、鉱山(銀・銅など)などがありました。さらに、京都・江戸・北陸を結ぶ交通の要衝であり、山国ゆえ一度押さえれば反乱が起きにくい土地でもあります。

江戸から派遣された代官や郡代の統治拠点となったのが高山陣屋です。元日は門が閉ざされており、徳川家の三つ葉葵紋の提灯が下がり門松が立っていました。
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明の春
明の春(あけのはる)は初春と同じ意味です。飛騨牛は岐阜県で肥育される黒毛和牛です。飛騨牛のブランド確立には、1981年に兵庫県美方郡村岡町(現:香美町)から購入した但馬牛「安福号」の存在が大きいです。

飛騨牛にぎりは食べ歩きのため、えびせんに乗っているものが多いようです。長蛇の列だったので、えびせんなしのところでいただきました。うまみが口中でとろけ、極上の美味しさです。
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飾縄
高山の注連飾の多様な美しさには感心しました。高山は飛騨家具、飛騨春慶、一位一刀彫をはじめ多くの伝統工芸品を産し、造形感覚の鋭い職人文化が強い土地です。

注連飾も単なる厄除けではなく、稲わらの撚り方、垂れのリズム、装飾物(橙、紙垂、水引、裏白、南天、松など)の配置に「作り手の美意識」が自然に入り込んだのでしょう。

つまり、職人文化の祈りと手仕事と美的競争が重なり、小さくも美しい造形物を新年を迎える門前に飾る伝統が続いているのです。
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新春
高山は盆地で西の石川県境には白山国立公園、東の長野県境には中部山岳国立公園が連なります。北は白川村を経て富山県となります。

雪の多いところですが元日は晴れていました。気温は低く、瀬戸内海沿岸部の冬とは一段寒さの度合いが違うことが実感できました。
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注連飾
高山の注連飾は各戸全てが異なるといっていいくらい多様です。注連飾は神事に由来するものの、家の玄関に掛けるものは、各家・各集落で作られてきた生活の中の造形(民具)です。それゆえ、「これが正解」という教義的縛りが弱い性格を持っています。

飛騨は地理的に山に囲まれ、谷ごと、村ごと、町内ごとに生活圏が細かく分かれてきました。高山は城下町でありつつも、周辺農村との結びつきも強く、「同じ高山でも、元は別の生活文化圏」という履歴がそのまま注連飾の違いとして残っているようです。
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おらが春
『高山茶寮三葉』で「紫芋もなか」を食べました。ここは江戸時代に町年寄をつとめた屋貝家の邸宅跡を利用した古民家カフェです。当店自慢と書かれている「三葉もなか」と「紫芋もなか」がありました。紫芋もなかを注文しました。

紫芋ペーストにさつまいもと餡子をはさんだほかほかモチモチ最中です。最中はかなり大きく、子ども用茶碗の直径くらいあります。下に四角い求肥が敷いてありそれで芋と餡子をくるみ、最中皮にはさんで食べます。

紫芋と餡子にとろけるバターと岩塩からみ、なんともいえない美味しさです。求肥で包むことがこのお菓子の発想のキモで、具材がばらけず食べやすくなっています。テイクアウトも可能というのはこれゆえです。
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藁飾
注連飾には、他に季語として「門飾」「年縄」「飾縄」「縄飾」「飾藁」などというものがあります。古くは清浄な地を縄を引き渡して区別したことが起源です。その後、新年に禍の神が入らないように民家の門口に飾るようになりました。
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