秋の日
『太平記』の21巻に塩谷高貞が幕府執事の高師直の讒言にあって破滅する話があります。讒言の原因は高貞の美しい妻に師直が横恋慕したことです。これによって高貞は謀反の疑いをかけられ領国の出雲に向かいます。

高貞の妻子らは播磨の国蔭山(現在の姫路市)で追手に追いつかれ、火を放って自害します。この妻子らを弔っているのがここ圓通寺です。ただし、塩屋高貞の謀反は史実ですが、妻への横恋慕うんぬんは全くの創作です。

その後、赤穂事件をこの太平記の話に置き換えて『仮名手本忠臣蔵』が成立しました。高師直も吉良上野介もとんだとばっちりで悪人にされ、気の毒な話です。
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