優嵐歳時記

俳句と季語。日本の自然と四季が生み出した美しい言葉を。

タグ:JR七尾線

清和
お弁当を食べ終わった後、全体の見学に行きました。2号車の通路は流水のイメージ、椅子は紅色の生地、背もたれ背面は格子です。内装は輪島塗の図柄を採用しています。

乗降口のあるエントランスには金沢の代表的な金箔メーカー「箔一」による金沢金箔の装飾が施されています。金沢金箔は400年の伝統があり、金箔の国内シェア98%以上です。エントランスには車内販売とともに伝統工芸品の展示スペースもありました。
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初夏
花嫁のれん2号では和軽食セットをいただけます。天保元年(1830)創業の金沢の老舗料亭「大友楼」が手がけた加賀の郷土料理です。味も素晴らしいですが、それ以上に驚いたのがパッケージでした。六角形で二段のお重がスライド式に横に開き、狭い列車のテーブルでも気にせず食事を楽しめます。

お茶はペットボトルの加賀棒茶。石川県の名産品で、ほうじ茶の一種です。晩年にほうじ茶を好んだ昭和天皇にも献上されたとか。通常のほうじ茶は茶葉を焙じますが、加賀棒茶は新茶の茎を浅く焙じて作ります。まろやかな味わいです。
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早苗田
金沢行の花嫁のれんの最初の停車駅は七尾です。ここでも花嫁のれんに力を入れているようで、ホームにシンボルののれんがかかっていました。七尾を過ぎると七尾線は能登半島の基部を横切って行きます。

花嫁のれんには、婚礼の日に花嫁の幸せを願いのれんを贈ったという伝統文化の背景ストーリーがあり、乗客の幸せを願って観光列車の名前に採用されました。のれんが、伝統的な日本家屋にとっていかに重要なものであったかに気づきました。
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麦秋
花嫁のれんの定員は1号車24名、2号車28名、座席配置はそれぞれ異なっていて、車いすスペースも用意されています。私は1号車に乗りました。ここは8つの半個室で構成され通路には日本庭園の飛び石をイメージした絨毯が敷かれています。

半個室の部屋にはそれぞれ名前があり、デザインの異なる加賀友禅のオールドコレクションがあしらわれています。限られた室内空間に考えうる最高のデザインを盛り込もうという意図が感じられました。
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夏きざす
加賀温泉駅は始発なので花嫁のれんの車体をじっくり見ることができました。通勤通学列車だった平凡な車体が見違えるような姿になっています。

鉄道を単なる乗り物から「それを目的に旅をしたい」と思わせるものに変えたのは、発想の転換の賜物です。こうした路線が走るところはほぼローカルの赤字路線。それが車両にお化粧を施すことによって車に対抗できるひとつの手段になったのですから。
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五月
12時7分発の花嫁のれん2号に乗りました。JR西日本が和倉温泉と金沢の間で運行する観光列車です。キハ48系ディーゼルカーを改装した2両編成、赤を基調とした外観デザインには輪島塗や加賀友禅のイメージが使われています。運転士と車掌以外に専用のユニフォームを身に着けた「おもてなし」のための乗員がいました。
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植田
金沢駅15時発の特急能登かがり火5号で和倉温泉へ向かいました。金沢駅から津端駅まではIRいしかわ鉄道が運行し、その先がJR七尾線です。IRいしかわ鉄道はもともと北陸本線の一部で、北陸新幹線の開業にともなって金沢駅から俱利伽羅駅までの17.8kmがJR西日本から経営分離されてできた会社です。

金沢駅を出ると能登かがり火はしばらく北陸新幹線と並走し、やがて市街地を抜けて田園風景の中へ入っていきます。田植えが終わった水田に根付いた苗が整然と並んでいます。七尾線から海は見えませんでした。
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